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2017.4.6遺伝子組換えカイコ大量飼育システムを開発・納入
~"蚕業 (さんぎょう) 革命"をもたらすスマート養蚕技術~

当社は、株式会社免疫生物研究所 (以下、IBL) 前橋研究所に遺伝子組換えカイコ大量飼育システムを納入しました。納入した4基の大量飼育装置では、最大9万頭の飼育が可能です。これは、IBLによる世界で初めての試みである「遺伝子組換えカイコが産出する繭から、医療用原材料にも使用可能な高品質なタンパク質を安定的に生産する」という新たな物質生産系の確立に寄与するシステムです。
当社が開発したスマート養蚕技術 (大量飼育システムと飼育管理技術) は、日本で長く培われてきた高度な養蚕業の技術を現代の技術で再現したものです。養蚕家の高齢化に伴い、失われようとしている日本の高度な飼育管理技術、養蚕家のノウハウを工業的に再現し、バイオ医薬の原材料生産などに代表される新たな物質生産系のための工業システムへと生まれ変わらせたものです。
茨城県つくば市にある当社中央研究所には、1基で約65,000頭の飼育を可能とする大量飼育装置を常設しており、見学申し込みも受け付けています。

カイコをはじめとする遺伝子組換え生物を用いたバイオ医薬品などの有用物質生産が新たな産業として広がりをみせはじめるなか、遺伝子組換えカイコを効率的かつ安定的に大量飼育する技術は確立されていませんでした。そこで当社は、バイオ医薬原料生産工場への提供を目的とし、遺伝子組換えカイコの飼育設備 (ハード) と飼育管理技術 (ソフト) からなる"スマート養蚕技術"の開発に取り組んでまいりました。その結果、飼育作業の省力化、成育に適した環境の構築、カイコの成育速度を揃えること (斉一化) を可能とする大量飼育システムの開発に成功しました。大量飼育システムは「大量飼育装置」、「飼育ケージ」、「空調機」などから構成されます (図「システム構成」参照) 。

繭を作るまでのカイコを飼育する「大量飼育装置」 (写真-1参照) は、クリーンルーム内に設置します。装置内部には飼育用の棚を多段に配置することにより省スペースを実現しました。棚はモータにより垂直方向に回転移動できる機構となっており、任意の棚を自動的に作業者の位置まで移動させることで、作業の効率化を図っています (図「大量飼育装置」参照) 。また、装置内部では、空調空気を上部から下方に向かって吹くことに加えて棚を定期的に回転させることにより、各棚をカイコの成育に適した均一な温湿度に制御します。

カイコは、大量飼育装置内の各棚上に配置された飼育ケージ (写真-2、写真-3) の中で飼育されます。カイコは微生物などによって病気にかかりやすいため、ガンマ線滅菌した紙製の飼育ケージを開発し、飼育終了後には廃棄できるディスポーザブル型とすることで、衛生的な飼育を可能にしました。
ほかにも当社では、養蚕業者の減少の影響で現在は製造中止となっている養蚕の補助用品の中から、繭を作らせる格子枠「ボール蔟 (ぞく) 」 (写真-4) や繭外周にある毛羽を除去する「自動毛羽取り装置」 (写真-5) を復元・製作しており、今後はこれらの製品販売も行っていく予定です。
当社は、遺伝子組換えカイコを省スペース、省エネルギーかつ高い歩留りで生産することを可能にする"スマート養蚕技術"により、お客様のニーズに応じた最適なプランを設計することで、バイオ医薬原料生産工場の受注拡大を目指してまいります。

なお、本システムは、4月5日、テレビ東京「ゆうがたサテライト」の『がん治療薬にも応用 驚きの「カイコ」革命』で放映されました。


  • 写真-1 大量飼育装置

  • 写真-2 飼育ケージ (カイコを飼育中)

  • 写真-3 飼育管理作業

  • 写真-4 ボール蔟 (ぞく)
    (カイコに繭を作らせる格子枠)

  • 写真-5 自動毛羽取り装置

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