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2018.5.22国内最大級のデータセンターにおいてBIMを本格活用
~工事全体の効率化とFM導入の基盤を構築~

当社は、空調・衛生設備工事を担当した「三鷹データセンターEAST」 (以下、本物件) において、建設工程の全局面でBIM活用を先導するBIMマネージャーの一員として、工事の全体最適を図りました。また、施主である株式会社NTTデータ (以下、施主) が、本物件において計画したFM (*1) 業務の効率化を目指したデータ連携システムのスムーズな導入を実現しました。 (図-1)

本物件は、施主が、2018年3月、東京都三鷹市に建設した国内最大級のデータセンターです。地上4階、延べ床約37,000m2 (I期+II期) で、サーバーラックが最大5,600ラック収容可能であり、BCP対応や、電力高負荷対応、高いセキュリティーレベルの採用、自然エネルギーの活用など、最新鋭の設備と技術を備えています。また、本物件は、建設プロセス全般の最適化のため、施主・設計会社・建設会社・専門業者などの関係者が、初期の段階から協業する業務形態であるIPD (*2) を、この規模のプロジェクトでは国内で初めて導入しました。

IPDの実現には、一元化したBIMモデルを、リアルタイムに可視化し、関係者が共有できる環境が不可欠です。そのため、当社は、本物件のBIM活用を先導するBIMマネージャーの一員として、建築工事を担当する株式会社フジタのBIMマネージャーとともに、初期の段階からBIM活用を牽引しました。また、着工と同時に結成された、施主・設計・建築・設備のBIM担当者が参加する「BIM分科会」 (図-2) では、当社はその一員として、BIM導入のルール作り、実施計画書の作成などの運営業務を推進しました (図-3) 。

BIM分科会では、工事施工前に策定した「BIM実施計画書」に基づき、BIMモデルを施主に引き渡す「仮想引渡し」 (以下、VHO (*3) ) を、工事期間中に2段階で実施し、竣工後のBIM活用を目的とした課題解決をタイムリーに行いました。

1回目のVHOは、機器の配置や納まりを調整し (スペースマネジメント) 、空間的整合性を確保した「納まり調整BIM」の完了時に実施しました。このBIMデータを使って、竣工時の建物が発注者の要件を満たすものであるかを評価したところ、100項目近くの課題が顕在化しました。そのため、設計・施工計画にフィードバックし、一つひとつ解決したことで、建物運用に関する施主の意図との齟齬を、施工前に解消することができました。 (図-4)
2回目のVHOは、竣工後の具体的な施設運営・保守業務が、適正に遂行できるかを確認する「仮想竣工BIM」の完了時に実施しました。このBIMモデルの属性データを用い、施主が所有するFMデータベースへ取り込む際の流れを、事前に検証・確認したところ、エラー発生の確認や属性データの変更・見直しの必要性を前倒しで把握できたため、竣工後のスムーズなFM業務におけるBIMの導入につながりました。 (図-5)

また、工事完了後のBIMデータ検証検査において、実際の建物とBIMモデルを比較し最終調整を行うことにより、さらに精度を高めた「竣工BIMモデル」を、施主に引き渡すことができました。

本物件において、当社は、設計・施工段階から一気通貫してBIMデータを構築し、その機能をフル活用することで、工事全体の効率化を図りました。また、竣工後の施主によるFM業務へのBIM導入の基盤構築にも貢献しました。

当社は、これまでにも、工事の企画・設計・施工・運用・改修など様々な場面において、多くのBIM案件の実績を重ねてきました。また、社内においては、BIMマネージャー講習を定期的に開催するなど、人材育成にも注力しています。今後も引き続き、当社のBIMソリューションを活用し、お客様のニーズに応えた最適な提案を行っていきます。

*1) FM (Facility Management) とは
保有する施設・資産すべてを経営にとって最適な状態 (コスト最小、効果最大) で保有し、運営し、維持するための総合的な管理手法。

*2) IPD (Integrated Project Delivery) とは
施主をはじめ、設計事務所、建設会社、専門業者など建築プロジェクトにかかわるチームが、初期の段階から協力し、最適な建物を建てるという共有目的のもと、最も有効な決定を共同で下すことを可能にする協業形態のこと。

*3) VHO (Virtual Hand Over) とは
BIMモデルによる仮想引渡しのこと。このことにより、竣工前にFMデータを整備し、竣工直後に建物維持管理やFMの導入が可能となる。


  • 図-1 実際の現場とBIMモデル

  • 図-2 BIM分科会説明図

  • 図-3 BIM分科会の様子

  • 図-4 VHOにおける検証例

  • 図-5 BIMモデルのFMデータベースへの引渡し

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