• TOP
  • 新着情報
  • 標高2,000~4,000mの低酸素環境の構築をサポート

新着情報

2019.12.6標高2,000~4,000mの低酸素環境の構築をサポート
~世界最大級※の都市型低酸素トレーニング施設に「低酸素空調システム」を開発~


当社は、2019年11月1日にグランドオープンした世界最大級の都市型低酸素トレーニング施設「ASICS Sports Complex TOKYO BAY(アシックス・スポーツコンプレックス株式会社)(https://sports-complex.asics.com/)」において、標高2,000~4,000m相当の低酸素環境を作る「低酸素空調システム」の施工を担当しました。
本システムは、通常の空気に100%の窒素ガスを加えて所定の酸素濃度(12~17%)に制御する方式を開発・導入したものです。本システムの構築に当たっては、①窒素ガス方式の制御性の確認、②室内の酸素濃度分布の確認、③低酸素環境の安定性の確認などの試験を行いました。
また、50m、25mプールを備えた低酸素トレーニング室では、プールからの塩素ガスが酸素濃度計の耐久性に及ぼす影響の確認試験も行い、より安定した環境制御を実現しています。

都市型低酸素環境下トレーニング施設として2019年8月時点、アシックス調べ



●背景
「Dタワー豊洲(大和ハウス工業株式会社)」は、豊洲新市場の向かいに建設された地上17階建の建物で、ホテル、低酸素環境下トレーニング施設、商業施設等を併設した複合施設です。当社は空調・衛生設備の施工を担当しました。
Dタワー豊洲の中で最も特徴的な「ASICS Sports Complex TOKYO BAY(アシックス・スポーツコンプレックス株式会社)」は、2019年11月1日にグランドオープンした世界最大級の都市型低酸素トレーニング施設です。プールやランニングレーン、トレーニングルームなどの大空間を標高2,000~4,000mの高地と同程度の低酸素環境にすることができ、当社は、その低酸素環境を作る「低酸素空調システム」の施工を担当しました(写真1)。このような大規模な低酸素環境を都市部に実現するのは世界でも例がなく、空調設備においても特殊かつ高度な技術が求められました。

●低酸素空調システムについて
「低酸素空調システム」は、通常の空気に100%の窒素ガスを加えて所定の酸素濃度(12~17%)に制御し、密閉状態の室内に供給する方式を開発・導入したものです。
本システムの検討に当たっては、窒素ガスを用いた空調設備の参考事例がなかったため、実験による性能確認を実施しました。当社中央研究所(茨城県つくば市)に、低酸素環境を作る設備システムの縮小モデルを製作し(写真2)、酸素濃度制御の方法や建築の気密性が与える影響など、想定される技術面・安全面の課題を一つひとつ確認し、低酸素環境を実現する空調制御方法を導き出しました。
CFD(Computational Fluid Dynamics)技術を用いて、室内の酸素濃度・温湿度・気流などの分布をシミュレーションし、酸素濃度を均一にするための風量や吹出口の個数・配置などを確認し、施工に反映させたほか、低酸素環境が乱れた場合に、所定の低酸素環境に到達・回復するまでの時間もシミュレーションで求め、試運転でその性能を確認しました。
また、低酸素環境を維持する上で重要な役割となる酸素濃度計の安定性を担保するため、プールの塩素環境を実験的に再現し、塩素ガスが酸素濃度計の耐久性に与える影響を約1年かけて検証したほか、万一の備えとして、酸素濃度異常時の遮断制御についても十分な検討・確認を行いました。


  • (写真1) ASICS Sports Complex TOKYO BAY
    (上:プール、下:トレーニングルーム)


  • (写真2) 低酸素空調システムの縮小モデル実験
    (新菱冷熱・中央研究所(茨城県つくば市))

ページトップへ