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2020.1.9高性能・環境配慮型「電解水エアワッシャーシステム」を開発

当社は、半導体・液晶工場などの製造環境向けに、「電解水エアワッシャーシステム」を開発しました。このシステムは近年の酸性ガスの除去に関するニーズの高まりに対応する高性能・環境配慮型のシステムです。
半導体デバイスなどの一層の高集積化、大容量化が進むにつれ、より高性能で、省コストな空調システムのニーズが高まっています。当社は今後、このシステムの国内・海外の製造施設への展開を見込み、システムおよび関連施設を含め、3年で100億円の売上を目指す計画です。

●背景
半導体・液晶など精密製品の製造環境では、空気中に含まれる粉塵(粒子状汚染物質)だけでなく、ガス成分(分子状汚染物質)が製品の歩留りに影響を及ぼします。そのため、製造環境では特に、高レベルの清浄環境、温湿度管理のクリーンルームが求められます。
従来型のエアワッシャーは、加湿装置、兼ガス成分の除去装置として外調機※に組み込まれますが、除去性能は80~90%程度にとどまっています。しかし近年、外気に含まれる酸性ガスをさらに除去する必要性が高まっており、エアワッシャーとケミカルフィルタ(Chemical Filter以下、CF)の両方を設置するケースが増えています。ところが、CFには性能やメンテナンスなどに課題があり、新たなシステムの開発が求められていました。

※工場内のクリーンルーム用に、外気から塵埃や分子状汚染物質を除去して空気質を調整する一次段階の空調機

●新技術のポイント
今回開発した「電解水エアワッシャーシステム」は、製造環境用の外調機に実装するもので、外調機に設置されるCFを不要にしながら、酸性ガスの高い除去性能を実現します。当社は、エアワッシャーの吸収液に電解水を用い、プリーツ型メディア(当社開発、特許第5137878号)で空気と電解水の接触効率を向上させる仕組みを開発しました。その他、外気中の酸性ガス濃度の変動を検知し、最適な電解水量を供給する制御機構も開発、実装しています。

●特長(1) CFを使わずに高い除去性能を発揮
電解水エアワッシャーシステムは、硫酸イオン(SO42-)99%以上の高い除去性能を発揮します。アンモニウムイオン(NH4+)も除去することが可能です。さらに、CFが不要になるため、CFから発生する硝酸・酢酸がなくなることが利点です。

●特長(2) 消費エネルギー量24%、CO2排出量15%、ランニングコスト3割削減
このシステムには、CFと共に設置する、湿度を下げるための再熱機構が不要です。また、制御機構(当社開発)によりシステムの最適な運転を可能にします。その結果、外調機全体の消費エネルギー量を約24%、CO2排出量を15%、ランニングコストを3割と大きく削減することができます(当社従来型比)。

●特長(3) 産業廃棄物ゼロ、環境配慮型のシステム
CFを用いないため、活性炭の交換・廃棄が不要になり、産業廃棄物をゼロにできる環境配慮型のシステムです。

参考:外調機にケミカルフィルタを設置する場合の課題

(1)CFにエステル系の有機物が吸着すると酢酸が、また、NOxが吸着すると亜硝酸や硝酸が発生するため、CFがクリーンルームの汚染発生源になってしまう。

(2)CF交換時には外調機を停止する必要があり、クリーンルームの運用・保守が煩雑化する。

(3)CFの除去性能を維持するためには、CF入口空気の相対湿度を低くする必要があり、入口空気を常時昇温する機構を設けるため、消費エネルギー量が大きくなる。

(4)1~数年でCFの活性炭を交換する必要があり、その活性炭は産業廃棄物となる。処理風量100,000m3/hクラスの外調機から生じる活性炭の重量は1~数年の交換ごとに約1~2トンにもなる。

(5)CFの交換コストがかかる。

  • 図1 従来型と電解水エアワッシャーシステム実装型の外調機構成の違い

  • a
    物質 入口濃度[ng/m3] 出口濃度[ng/m3] 除去率[%]
    SO42- 74,000 350 >99
    NO3- 3,100 330 89
    Cl- 56 <20 >75
    酢酸 2,500 190 92
    ギ酸 2,000 180 91
    NH4+ 3,400 150 96

    表1 電解水エアワッシャーシステムの汚染物質除去率

  • 写真1 電解水エアワッシャーシステム内のプリーツ状メディア

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