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2021.12.10全外気方式ドライルーム用除湿機向けの新システムを開発
~ドライルーム空調の消費エネルギーを年間で約40%削減~

当社は、低露点向け全外気方式ドライルーム用除湿機の消費エネルギーを、定格運転と比較して年間で約40%削減する新システム(特許第6859398号)を開発しました。

2012年、当社は除湿機の消費エネルギーを大幅に削減する省エネドライ空調システム「アリフィカス®」を開発し、主にリチウムイオン二次電池関連の量産工場や研究施設の循環方式ドライルーム(図1 A)に展開しています。今回の開発は、「アリフィカス®」を新たに全外気方式ドライルーム(図1 B)へと拡張したシステムになります。

当社は、2つのタイプ(循環方式・全外気方式)の省エネシステムを提案し、省エネルギーで高品質なドライルームの実現に貢献します。

1.背景

リチウムイオン二次電池などの製造環境では、空気中に含まれる水分が、製品の歩留まりや性能の低下に影響するため、相対湿度1%以下の環境(以降、ドライルーム)が必要とされます。ドライルームの構築には、シリカゲルやゼオライトなどを添着した除湿ローターを搭載した除湿機が用いられますが、除湿ローターから水分を取り除くエネルギー(以降、「再生エネルギー」)が非常に大きいという課題(※)があります。

(※)「再生エネルギー」は、水分負荷の最も大きい夏季のピーク値で設計されるため、定格運転では水分負荷の小さい冬季や無人時には過剰となります。また、露点温度で再生エネルギーを制御する方式には、低露点向け露点温度計に特有な精度劣化や応答性の問題がありました。

それらの課題を解決するため、除湿機内に設置した温度センサーの値から給気露点を推定し「再生エネルギー」を最適に自動制御するシステムとして、2012年に「アリフィカス®」が開発されましたが、これまでは循環方式の除湿機にのみ展開されていました。

2.循環方式ドライルーム用除湿機と全外気方式ドライルーム用除湿機について

循環方式ドライルーム用除湿機では、3分割の除湿ローターが、再生・パージ・除湿セクションを回転しながら通過します(図2)。
一方、全外気方式ドライルーム用除湿機は、外気の水分を取り除くために、2つのローターが直列に設置されます。前段のローターは、再生・除湿セクションで構成される2分割ローターで、後段は再生・パージ・除湿セクションで構成される3分割ローターです(図3)。
可燃性または有害な薬品を使用する場合は全外気方式ドライルームの必要性が高まりますが、全外気方式の除湿機は、循環方式の除湿機に比べ約3倍のエネルギーを使用するという課題があります。

3.全外気方式の除湿機の消費エネルギー削減効果について

全外気方式の除湿機は、定格運転では消費エネルギーの70%以上を「再生エネルギー」が占めます。特に、前段ローターの「再生エネルギー」は後段ローターの2倍以上にもなるため、全外気方式ドライルーム用除湿機の省エネには、前段の2分割ローターの「再生エネルギー」を削減する必要がありました。3分割ローター適応の「アリフィカス®」を拡張した新システムは、2分割ローターに対しても「再生エネルギー」の自動制御を可能にし、除湿機の消費エネルギーを約40%削減(定格運転比)することに成功しました。これにより、当社は、2つのタイプ(循環方式・全外気方式)の省エネシステムを提案し、省エネルギーで高品質なドライルームの実現に貢献することを可能としました。

  • 図1.循環方式および全外気方式ドライルームの概略図

  • 図2.低露点向け循環方式ドライルーム(図1 A)用の除湿機フロー

  • 図3.低露点向け全外気方式ドライルーム(図1 B)用の除湿機フロー

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