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2025.4.24地域冷暖房をAIで最適運転
AIが立案する運転計画で、CO2排出量を11%削減
新菱冷熱工業株式会社
みなとみらい21熱供給株式会社
当社と、みなとみらい21熱供給株式会社は、開発を進める地域冷暖房施設の熱源機器を対象とした「AIによる翌日の最適運転計画を自動立案するシステム」のPoC(Proof of concept : 概念実証)において、従来の運転計画と比べてCO2排出量11%を削減できる結果を得ました。当社は、システムの開発を担当し、みなとみらい21熱供給株式会社は実証フィールドと運転データを提供しました。
地域冷暖房施設は、都市部において冷暖房に要する冷水や蒸気などの熱媒体製造設備を1カ所に集約した熱源プラントです。各建物に製造設備を設ける個別熱源方式に比べ、高効率な機器の採用や熟練者による効率的な運転管理が可能であり、環境負荷低減に寄与する社会情勢に適した方式です。
しかし、地域冷暖房施設は一般ビルの個別熱源設備と比べて機器構成が複雑で、供給規程などさまざまな制約を満たすことが求められることなどから、その運転管理には高い技術力を要します。また、地域冷暖房施設は年中無休で稼働させる必要があるため、現状は熟練者による終夜体制により、安全で安定した供給を確保していますが、高齢化に伴う熟練者の確保への懸念もあり、経験年数に依存しない職場環境の整備や、より良い働き方の実現が喫緊の課題となっています。
これらの課題を解決するため、熟練者と同等の運用立案・判断をAIで実現する本システムの開発に取り組みました。
■本システムについて
以下三つの開発項目で構成されています。
1.AIによる翌日の熱需要予測
・外気温や湿度など、各時刻の気象予報から翌日の熱需要量を予測します。
・過去の運転データを学習することで、供給エリアの需要傾向を捉えます。
2. AIによるエネルギー消費量の予測
・製造熱量などから、プラント全体で消費する電力量およびガス量を予測します。
・過去の運転データを学習し、機器の特性や経年劣化による影響などを反映します。
3. AIによる翌日の最適運転計画立案
・上記1の熱需要を満たし、かつ上記2のエネルギー消費量(※)が最小となる最適な運転計画を探索・立案します。
※CO2排出量最小/消費エネルギーコスト最小の選択による計画立案
図 最適運転計画の算出フロー
■今後について
2025年6月に、機械学習による熱需要予測モデルの導入を予定しており、その後はエネルギー消費量予測モデルとAI最適運転計画の導入実現を目指しています。