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2025.10.30BIMを核とした施工DXを加速
~「門前倉庫」と「資材個別管理システム」導入で施工全体の最適化を実現~

当社は、佐川急便株式会社とSGシステム株式会社と連携し、BIM※1を中核とした施工DXの一環として、門前倉庫※2を活用したオフサイト拠点と、資材個別管理を可能にする専用システムを導入し、建設現場における資材管理のデジタル化を開始しました。これにより、資材メーカーやサプライヤーも含めたジャストインタイム(JIT)体制※3を構築します。

資材管理システムを中心とした本施策の全容(将来展開含む)

1. 取り組みの背景
当社は、中期経営計画で長期ビジョン2030「未来・環境エンジニアリングカンパニー」を掲げ、施工現場・オフサイト・バックオフィスの3拠点をBIMデータで連携させる「施工プロセス変革」を推進しています。その柱となるのが「デジタル化」「工業化」「組織化」の3つの取り組みです。
従来の建設現場における資材管理は、紙台帳や手書きリストといったアナログ管理に依存していました。限られた保管スペースに資機材を仮置きし、施工進捗に応じて繰り返し移動させる非効率が常態化。さらに、多数のサプライヤーから資材が納入される一方でラベル表示の規格は統一されておらず、資材の所在確認や検品作業は属人的で煩雑になり、施工品質や生産性の向上が困難な要因となっていました。
こうした課題を解決するためには、BIMデータを軸とした「デジタル化」による情報連携と、現場外で効率的に資材を加工・管理する「工業化」の視点を組み合わせることが不可欠と考え、佐川急便株式会社とSGシステム株式会社の協力を得て、今回の資材管理デジタル化に着手しました。

2. 取り組み内容
(1) 門前倉庫を活用したオフサイト化によるユニット類の保管とJIT搬入
当社では、2021年から本格的にオフサイト生産※4を行ってきましたが、機器やユニットの保管場所がないことが大きな課題でした。今回、門前倉庫を利用することで課題であった保管場所を確保できたため、どこでもオフサイト生産ができるようになりました。また、製作ユニット以外の資材も保管・管理ができるようになったため、一括かつ混載での搬入も可能となりました。これにより、従来大きな負担となっていた場内仕分けや物探しといった準備・段取り時間の削減につながることから、現場労務の生産性向上が期待できます。

門前倉庫を活用したオフサイト拠点 門前倉庫を活用したオフサイト拠点

(2) 建設業特有の課題を踏まえた資材個別管理システムを導入
多数のサプライヤーから届く資機材は、その多くにラベル自体が貼られていないか、または貼り付けされていても記載形式やバーコード規格が統一されておらず、従来のハンディターミナルによる検品対応が困難でした。この建設業界特有の課題を踏まえ、当社は施工管理会社の目線で使いやすいシステムを検討するなかで、佐川急便株式会社とSGシステム株式会社が保有する知見とノウハウを活用した資材個別管理システムを導入することにしました。このシステムは、両社が宅配・法人物流で培ってきた「荷物の一元管理」「リアルタイムトレーサビリティ」「効率的な拠点運用」を支えるシステム開発力と、当社が持つ建設資機材やBIMに関する専門技術力を融合させたものです。多品種・多拠点・多サプライヤーから構成される複雑なサプライチェーンに柔軟に対応し、現場での実運用に即した資材個別管理システムとして短期間で構築・導入しました。これにより、資材ごとにバーコードを付与し、搬入・在庫・受け渡しをリアルタイムで管理する仕組みを整備。資材のトレーサビリティを確立するとともに在庫管理の効率化を実現しました。

ご応募はこちらから 資材ごとにバーコードを付与。
リアルタイムで管理

(3) BIMデータとの連動による施工DXの推進
当社は「施工プロセス変革」の中核にBIMを据え、設計・調達・施工を一体で管理する体制づくりを進めています。今回の資材管理デジタル化はその延長線上にあり、個別管理システムで得られた情報をBIMデータと連携することで、調達から施工までのデジタル化を実現しました。これにより、ジャストインタイム(JIT)での資材供給が可能となり、従来困難だった資材管理のDX化を可能にしました。

3. 今後の取り組み
本取り組みは、BIMデータを基盤とする施工DXの新たなステージと捉え、今後は資材検収や出来高管理、工程管理システムとの連携を進め、施工現場・オフサイト・バックオフィスの更なる連動を目指します。また門前倉庫は資機材の保管に留まらず、「フロントデポ」としてユニット製作を行うオフサイト拠点の一面も兼ね備えた運用を目指します。さらに、資材メーカーとの情報共有や工程計画の連動を強化することで、より精緻なジャストインタイム(JIT)供給を目指してまいります。

※1 BIM(Building Information Modeling):コンピューター上に建物の3次元モデルと情報を一元管理する仕組み
※2 門前倉庫:現場近くで搬入する資機材を一時的に保管する倉庫
※3 JIT(just in Time):「必要なものを、必要な時に、必要な量だけ」生産・供給する体制
※4 オフサイト生産:施工現場(オンサイト)と施工現場外の拠点(オフサイト)でBIMやデータの連携を行い、オフサイト拠点で、機器や配管ユニットをまとめて製作することでオンサイトの作業を減らし、生産性を向上する生産方法