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2026.5.12閉鎖循環式陸上養殖プラントの実証プロジェクトを開始
~脱窒システムを組み込んだ省エネルギー型モデルを構築~
当社は、水産物需要の増加および水産資源保全の重要性が高まる中、茨城県つくば市に所在する当社研究開発施設「イノベーションハブ」において、外部の海や河川と接続せず、養殖水を施設内で循環・管理する「閉鎖循環式陸上養殖」の実証設備を完成させました。2026年より本格的な実証運転を開始し、実証後は陸上養殖における設備工事の受注拡大や水族館向け脱窒システムの導入を目指します。
■背景・目的
近年、世界的に水産物消費が増加する中、日本国内では水産庁が「養殖業成長産業化総合戦略」を掲げるなど、陸上養殖が持続可能な水産資源の供給手段とされています。
一方、海面養殖やかけ流し式養殖に伴う水質悪化、赤潮、気候変動などによる水産資源への影響により、陸上養殖は安定的な水産物の供給と環境負荷の低減を両立できる方式として注目を集めています。
当社は、中期計画における成長戦略の一つとして新たな事業の創出に取り組んでいます。その一環として、全国21カ所の水族館で飼育設備※1の設計・施工を通じて培ってきた水処理や生体管理の技術を活用しています。本実証プロジェクトでは、脱窒システム※2を導入することで、省エネルギーかつ低換水率※3でも安定して運転が可能な陸上養殖システムのモデル構築を目指しています。
※1 飼育設備:魚類・海獣類・無脊椎動物・水生植物などの健康を維持するために、ろ過装置や殺菌装置など配管で接続し、水を循環させながら自然環境に近い状態で水質を管理する水族館向け設備。 ※2 脱窒システム:水中に含まれる硝酸性窒素を、微生物の働きによって窒素ガスに変換し、除去する処理方法。 ※3 低換水率:養殖プラントにおいて、外部から補給する水の量を最小限に抑えて運用する方式。
■システムの特長
(1)脱窒システムを組み込むことにより低換水率を実現
・飼育水の再利用により補給水の低減が図れ、水資源節約に貢献
・循環ラインに脱窒システムを組み込むことで、熱源容量の低減による省エネルギー化実現
(2)全国21カ所の水族館飼育設備で培った施工ノウハウを応用
・生体管理および水処理の知見を活かし、設計から施工まで一貫対応が可能
・飼育生物(本実証プロジェクトではトラウトサーモンを採用)に適した環境を維持しながら、省エネルギー運転を実現
・実績に基づく高度な飼育水処理設計を養殖プラントへ応用
(3)陸上養殖システムの標準化・最適化設計
・水処理、循環ライン、生体管理などの主要技術要素を体系化
・実証運転の結果を基に、最適な運転条件および設計指針を確立
・年間生産量200t以上の中大規模プラントへの展開を可能とする、拡張性の高いシステムを構築
閉鎖循環式陸上養殖システム構成フロー図
施設の外観
水槽内の様子