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2026.6.26「新菱冷熱工業イノベーションハブ本館」
第14回「カーボンニュートラル賞」最上位賞『大賞』を受賞

新菱冷熱工業イノベーションハブ本館 新菱冷熱工業イノベーションハブ本館

当社と株式会社三菱地所設計(東京都千代田区、代表取締役社長:谷澤 淳一)は、当社の研究施設である「新菱冷熱工業イノベーションハブ本館」(2023年竣工、茨城県つくば市/以下、本施設)が、第14回(令和7年度)「カーボンニュートラル賞」において最上位である「カーボンニュートラル大賞」を受賞し、このたび授賞式が執り行われましたことをお知らせいたします。
「カーボンニュートラル賞」(主催:一般社団法人 建築設備技術者協会)は、地球環境問題に対する建築設備技術者の活動にインセンティブを与えることを目指して、2012年に創設。カーボンニュートラル社会の実現に向けた建築物、建築設備に関わる優れた業績を表彰し、その意識の浸透と推進活性化を図ることを目的としています。

■さまざまな《環境》から働く場を選べる、新たな「ABW+e」を実践するイノベーションハブ
「新しい価値を創出・発信するプラットフォーム」をテーマとした本施設は、屋外~半屋外~屋内を、多様な空間・温度域・光環境が連続する「環境グラデーション」として一体的に捉え、多様なワークプレイスを展開していくことを設計のコンセプトとしました。

業務内容などに応じて働く場所を選べるABW(Activity Based Working)に、それぞれの場所の特性に応じて空調制御や照明計画を行い、空気環境や光環境、空間スケールなど、バリエーション豊富な環境(Environment)をプラスした「ABW+e」を掲げ、人の「感じる力」を刺激し、ひらめきを後押しするイノベーション施設を目指すとともに、本取り組みで開発した技術や得られた知見を社会に還元することで、脱炭素社会の実現に貢献します。

■「環境性能」と「利用者の健康・快適性」の双方の認証で最高ランクを取得
「2030年までに研究開発活動からの温室効果ガス排出量実質ゼロ」を目指す本施設では、大屋根による日射遮蔽に加え、脱炭素化に貢献する多数の独自開発空調技術による省エネルギー化と、太陽光発電による創エネルギーなどにより、設計段階において、基準一次エネルギー消費量に対し114%の削減率を達成。「BELS」(建築物省エネルギー性能表示制度)最高ランクの評価を取得し、『ZEB』※1を実現しました。

また、バリエーション豊かな空間や、周囲の豊かな緑を取り込んだ環境づくりなどが評価され、利用者の健康性や快適性を支援する建物への認証「CASBEE-ウェルネスオフィス」※2最高位である『Sランク』を取得しました。

※1:年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスの建築物。 ※2:一般財団法人住宅・建築SDGs推進センターによる、建物利用者の健康性、快適性の維持・増進を支援する建物の仕様・性能・取り組みへの評価。

建物中央に配された半屋外のエントランス 建物中央に配された半屋外のエントランスは、1~3階まで連続した吹き抜け

「環境グラデーション」を実現する断面ダイアグラム 「環境グラデーション」を実現する断面ダイアグラム
大屋根のもと、多様な空間・温度域・光環境がつながります

■「ABW+e」と「脱炭素」を実現するさまざまな新開発技術を積極的に導入
本施設の執務空間には、「環境グラデーション」の一環として空間ごとに異なる空調方式を導入し、「ABW+e」の促進を図りました。これらの空調システムは、いずれも独自開発による空調システムであり、低炭素化を最大の目標に、環境エンジニアリング企業ならではの高度な技術開発力を活かし、さまざまな事前検証を経て具現化しています。以下にその一部を紹介します。

【新開発システム例①】4Dミニエン空調システム
個別快適性と省エネルギーを両立するタスク・アンビエント空調

大屋根の傾斜に沿う、天井の高い空間に対して、空間全体を一様に空調するのではなく、人の居場所や嗜好に応じて必要な領域を効率的に整えるタスク・アンビエント空調。正逆回転ファン付の吹出口と床放射空調を組み合わせ、赤外線人センサや温冷感申告、着座時間に伴う代謝量変化なども踏まえた最適制御をすることで、省エネルギーと快適性を両立します。

「CFD連携PMV制御」が導入された2階執務空間 「CFD連携PMV制御」が導入された2階執務空間
らせん階段上の3階部分には「4Dミニエン空調システム」を導入

【新開発システム例②】CFD連携PMV制御
1時間先の空間快適性を予測し、居心地のよさと省エネルギーを両立

天気予報やワーカーの在室状況、電力使用状況、空調設備の運転情報などを基に、執務エリアのCFD解析(気流や熱の流れのシミュレーション)を行い、1時間後のPMV値(人がその環境をどう感じるか[暑い・寒い]を数値化した国際的な快適性指標)を予測し、最適な設定温度に制御します。各エリアの空間特性の違いを踏まえながら快適性を維持し、無駄な加熱・冷却も抑制することで省エネルギーにも貢献します。

【新開発システム例③】三管式ダイナミックレンジ冷熱源システム
低温・高温冷水を統合制御し、熱源効率を最大化する冷熱源システム

用途に応じて異なる温度の冷水を使い分けながら、熱源設備全体を効率よく運転する独自開発した冷熱源システム。複数の熱源機器を組み合わせ、負荷や気象条件に応じて稼働熱源や送水温度レンジをきめ細かく調整することで、システム全体で高い省エネルギー性を発揮しています。また、中央監視と最適計算プログラムの連携により、運用データから最適プログラムを継続的に自動チューニングすることで、将来にわたって高いCO2削減効果を得ることが期待されます。

■環境性能評価:省エネルギーとホールライフカーボン低減を高い水準で実現
本施設は、省エネルギー性能の大幅な向上とライフサイクル全体での脱炭素化を実現しています。直近1年間の実績では、太陽光発電を含む一次エネルギー消費量において、非住宅建築物の中規模オフィス平均に対して100.6%の削減を達成。建物を60年使用する前提で評価したホールライフカーボン(61.8kg-CO2e/m²・年)は一般的な事務所平均を49%下回りました。一部の既設機器あるいは当社独自の防食システムによる既設配管再利用、容量最適化、冷媒使用量の抑制も進め、設備関連・冷媒関連のエンボディドカーボン低減にも高い成果を上げています。

■「カーボンニュートラル大賞」における評価
本賞の審査においては、「環境グラデーション」という建築コンセプトのもと、省エネルギーと快適性を両立しつつ、運用段階のCO2削減のみならず、ホールライフカーボンの低減や冷媒削減にも取り組み、カーボンニュートラルに大きく寄与している点が高く評価されました。

加えて、運用面では、予測制御の導入やデータに基づく運用改善に新規性と波及性が認められたほか、BIMを設計から維持管理まで一貫して活用し、実測データに基づく継続的な検証を行うなど、研究施設ならではの実践も特筆されました。こうした高度な技術を統合制御する知見は、将来の環境建築を牽引するモデルとして社会的意義が大きく、本賞にふさわしい業績とされました。

講評の詳細や当社・三菱地所設計の建築設備士のコメントは、建築設備技術者協会Webサイトで公開されている「業績概要PDF」をご参照ください。

ダミー画像 授賞式の様子

ダミー画像 授賞式の様子