特許・論文

中央研究報2004年 Vol.11

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.11, 2004, pp.1-10

配管系の振動低減に関する研究 第一報 配管系の振動特性

白木秀児、田辺恵一、盆子原康博*1、近藤孝広*1

対策が困難な配管系の振動問題に対して,効果的な振動低減技術を開発するにあたり,基礎的検討 として配管系の振動特性に関する数値解析,実験を実施した。その結果,配管系はその系固有の振動 特性を有し,それらに対して数値解析手法が適用可能であることが確認できた。あわせて,水中音と 配管管壁振動との関係についても明らかとなった。

*1 九州大学

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.11, 2004, pp.11-19

配管腐食診断システムの研究
−ウェーブレット変換を用いた配管肉厚測定精度の向上−

酒本晋太郎、福田敏男*1、新井史人*1、長谷川泰久*2、小林太*3、油井拓紀*1

配管の劣化診断は,漏水のような事故を予防し,あるいは更新時期を正確に判断するうえで重要である。筆者らは超音波パルス反射法による配管肉厚測定において,測定したエコーデータにウェーブレット変換を適用することにより肉厚測定精度を向上させる方法を提案する。このアルゴリズムによって,複雑な腐食形状においても従来の超音波肉厚測定以上の精度で肉厚を測定し,より正確な肉厚マップを作成することが可能となる。本報ではウェーブレット変換による重畳エコーの分離,および隣接する測定点におけるエコー情報を利用したエコー選択方法について述べ,実際に腐食が発生した配管を用いて実験を行い,従来の肉厚測定に対して測定精度が向上することを示した。

*1 名古屋大学
*2 筑波大学
*3 神戸大学

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.11, 2004, pp.21-27

屋内樹木の生育制御に関する研究 −地温が樹木の形態に及ぼす影響−

小島洋志、蔵田憲次*1

本研究は,低光量環境であるアトリウムで,長期間にわたり温帯常緑樹を良好な形態に維持できる技術の開発を最終的な目的としている。本報では,樹木の形態に影響を与える因子の内,樹木周辺の温熱環境,特に人間の快適性を損なわずに樹木の生育を制御する環境因子として地温に着目し,低光量環境下で地温が樹木の生育に及ぼす影響を確認することを目的として実験を行った。アトリウムと同様の光,温熱環境を再現することのできる樹木実験用チャンバーの中で,地温を8℃,12℃,33℃に制御した試験区と無操作 (約25℃) の試験区とを設けた。それぞれの試験区で供試植物として選定したシラカシを生育させ,葉枚数,葉面積,樹高,根元直径など,樹木の形態に関する測定を行った。その結果,測定を行った総ての項目において地温の違いによる影響を確認することができた。このことから,地温による樹木の形態制御の可能性があり,特に,地温を8℃に下げることにより樹木の形態的な生長速度を遅れさせる可能性があることが,明らかとなった。

*1 東京大学

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.11, 2004, pp.29-36

屋上に設置された冷却塔のCFDによる能力予測

植田俊克

冷却塔の能力は設置状況・周辺気流等の影響を受けるため,あらかじめ冷却塔周辺の気流場を予測することが,適切な冷却塔の選定に重要となる。本報では冷却塔の機内抵抗,熱交換特性を考慮した冷却塔モデルを提案し,CFD (数値流体力学) 解析を用いて,様々な設置状況における冷却塔周辺の気流,冷却塔冷却水出口温度を予測した。その結果,有風時より無風時に冷却塔能力が高いこと,ルーバー,ショートサーキット防止用ダクトが能力向上に有効であることを確認できた。また,冷却塔の熱交換特性を考慮しない簡易なCFD解析法をあわせて提案し,冷却塔能力が定格の80%以上となる気流場でのみ有効であることがわかった。

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.11, 2004, pp.38-43

空気清浄機による室内空気中粒子状、ガス状汚染物質の除去効果

湯懐鵬、小林徳和*1、森本正一、木村文夫

近年,室内空気汚染対策機器として数多くの空気清浄機が開発,市販されている。本報では清浄化方式の違いによる空気質改善効果の特性を確認することを目的として,代表的な3機種 (機種A:活性炭フィルタ+酵素フィルタ,機種B:エアワッシャによる水洗浄,機種C:光触媒+静電フィルタ) を選び,一般居室における浮遊粉じん,浮遊微生物,ガス状汚染物質に対する除去効果,及びマイナスイオン発生の有無について調べた。
機種A はホルムアルデヒド,TVOC,NMHC などガス状汚染物質全般に対して優れた除去能力を示し,浮遊粉じん,浮遊微生物に対しても除去効果があることが確認された。機種B は,高沸点のVOC に除去効果が認められたが,TVOC の減衰率は低く,浮遊粉じん及び浮遊微生物に対する除去能力はほとんどない。一方,機種C は,粒子状汚染物質に対する除去効果が最も高く,ホルムアルデヒドに対しても高い除去能力を持つことが確認されたが,光触媒の酸化作用による中間生成物の影響により,TVOC,NMHC 濃度は逆に上昇することが分かった。
なお,機種B とCではマイナスイオンの発生が確認された。

*1 株式会社新菱エコビジネス

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.11, 2004, pp.45-51

空気清浄機によるCS患者住宅の室内空気質改善効果

湯懐鵬、菅家誠司、長泰則*1、高原清*1

室内空気汚染などに起因する化学物質過敏症 (Chemical Sensitivity) 患者用として筆者らが開発した空気清浄機について,実際のCS患者住宅においてモニター実験を行い空気質改善効果について調べた。実験は9 名のCS患者住宅において空気清浄機使用前,使用後の室内空気質を測定するとともに,患者の自覚症状アンケートを行った。
実測した結果,空気清浄機を運転すると,化学物質濃度と検出物質数は減少し,すべての住宅において室内TVOC濃度は運転前の1/3以下に減衰し,ホルムアルデヒドを含むカルボニル化合物合計濃度も運転前の約1/2程度に下がった。自覚症状アンケートでは,この空気清浄機が効果「有り」と評価したのは6 名,効果「無し」1 名,実験途中で中止が2 名であった。
空気清浄機の運転によりCS患者の居住環境空気質は大きく改善され,日常生活における患者の化学物質被曝負荷の低減手段として十分活用できることが実証された。

*1 株式会社新菱エコビジネス

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.11, 2004, pp.53-70

過冷却水を利用した直膨型ダイナミック製氷チラーの開発

長門秀樹、小川貴弘、山田育弘、田尾道義

筆者らは,過冷却水密閉製氷装置「トランスペットR」を組み込んだ新しい直膨型ダイナミック製氷チラーを開発した。このチラーはスクリュー型圧縮機,蒸発器 (過冷却熱交換器) ,凝縮器,トランスペット,フィルタ,サブクーラなどから構成され,これらの機器は工場でパッケージとして組み立てられる。本製氷チラーでは過冷却熱交換器として伝熱効率の高いプレート式熱交換器を採用しているため,製氷運転時の冷媒の蒸発温度は−3.0℃と高い温度での製氷が可能である。さらに,過冷却水安定生成を実現するために必要な氷核除去は,冷媒の凝縮液の顕熱を利用した加熱によって行われるため,冷媒の凝縮液の過冷却によって冷凍効果が増大し,製氷運転時のCOP を高めることが可能となっている。本報では,開発した直膨型ダイナミック製氷チラーの特長と導入事例について報告する。

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