特許・論文

中央研究報2005年 Vol.12

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.12, 2005 pp.1-10

配管系の振動低減に関する研究
第二報 フレキを用いた配管振動低減方法の検討

白木秀児、田辺恵一、盆子原康博*1、近藤孝広*1

配管系の振動低減技術の開発を目的とした研究の基礎的検討として,前報では配管系の基本的な振動特性について数値解析,実験を実施し,数値解析手法の有効性を明らかにした。本報では前報の知見をもとに,フレキシブル継手を配管系に挿入した場合の振動特性について,数値解析,実験の双方にて検討を行った。その結果,フレキシブル継手を適切に複数挿入することで,配管振動を効果的に低減できることを確認した。

*1 九州大学

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.12, 2005 pp.11-29

超音波による配管腐食診断システムの研究

酒本晋太郎、福田敏男*1、新井史人*1、長谷川泰久*2、小林太*3、油井拓紀*1

空調設備配管の腐食診断は,漏水のような事故の予防,あるいは適切な更新計画を立案するうえで重要である。本研究では,超音波による配管の腐食診断システムを構築するために,超音波測定ロボットおよび超音波データによる腐食推定技術の研究を行った。測定ロボットにおいては,正確な自動測定を保証するためにマニピュレータによる超音波探触子姿勢調節アルゴリズムを提案し,さらに,より効率的に測定を行うためにパラレルリンクロボットを提案した。また腐食推定技術においては,腐食が発生しやすいネジ接合部における腐食検出・推定方法を検討し,さらに腐食配管の肉厚測定精度向上技術の提案,局部腐食形状の推定技術の提案をそれぞれ行った。本報では,それぞれの技術について説明し,実験結果により性能を示す。
なお本報は,「超音波による配管腐食診断システムの研究」 (2004年博士論文) からの抜粋である。

*1 名古屋大学
*2 筑波大学
*3 神戸大学

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.12, 2005 pp.31-42

屋内樹木の生育制御に関する研究 −低地温が樹木の生育に及ぼす影響−

小島洋志、蔵田憲次*1

本研究は,低光量環境であるアトリウムで,長時間にわたり温帯常緑樹を良好な形態に維持できる技術の開発を最終的な目的としている。本報では,樹木の生育に影響を与える因子のうち,樹木周辺の温熱環境,特に人間の快適性を損なわずに樹木の生育を制御する環境因子として地温に着目し,低光量環境下で地温が樹木の生育に及ぼす影響を確認することを目的として実験を行った。アトリウムと同様の光,温熱環境を再現することのできる樹木実験用チャンバーの中で,地温を8℃に制御した試験区と無操作 (約25℃) の試験区とを設けた。供試樹木であるシラカシをそれぞれの試験区で25ヶ月にわたり生育試験を行った結果,地温無操作 (約25℃) の試験区の供試樹木は24ヶ月以内に枯死したのに対して,地温8℃の供試樹木は実験期間を通じて生育し続けた。次に,地温を5℃に制御した試験区と無操作 (約25℃) の試験区とを設けて,それぞれの試験区でシラカシの生育試験を行った。その結果,純光合成速度,暗呼吸速度,蒸散速度,気孔コンダクタンスが地温の影響を受けた。純光合成速度は,地温5℃の試験区が地温無操作 (約25℃) の試験区を上回り,暗呼吸速度は地温5℃の試験区が地温無操作 (約25℃) の試験区を下回った。このことから地温8℃と比較し,地温5℃ではより長期にわたり樹木を生育させられる可能性が示された。また,地温5℃の試験区の高い同化量が低光量環境での生育期間の長期化の一因であると考えられる。

*1 東京大学

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.12, 2005 pp.43-51

実建物における冷却塔のCFDによる能力予測

植田俊克、加治屋亮一*1

冷却塔の能力は設置状況・周辺気流等の影響を受けるため,あらかじめ冷却塔周辺の気流場を予測することが,適切な冷却塔の選定に重要となる。本報ではCFD解析を用いて冷却塔の能力を予測するため,冷却塔の機内抵抗,ファン特性,熱交換効率を考慮した冷却塔モデルを提案し,実建物に適用した。実測時の気象条件,冷却塔の入口水温を境界条件としたCFD解析結果と実測値を比較したところ,冷却塔出口水温の誤差は0.2℃以下であり,本手法を用いたCFD解析が高精度に冷却塔の能力を予測できることを確認した。

*1 明治大学

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.12, 2005 pp.53-62

対流・放射連成モデルを用いたCFDによる快適性評価

穴井俊博、植田俊克、三國恒文

筆者らは,対流・放射連成モデルを組込んだCFDを用い,空気環境から人体の温熱感まで含めた放射の総合的な評価を試みた。はじめに,Low−E複層ガラスを設置した実験室を解析した結果,Low−E複層ガラスの放射伝熱の特性を再現でき,従来用いてきた通過熱解析よりも高い計算精度が得られた。つぎに,平均放射温度ならびにPMVの空間分布を算定し,放射が人体の温熱感に与える影響を検討した。その結果,実験結果と高い精度で対応し,Low−E複層ガラスやブラインドからの放射の影響を再現できた。最後に,短波長放射を考慮した平均放射温度分布を算定することで,ペリメータ領域の環境を評価し,短波長放射が影響する領域で空気温度と異なる分布性状が得られること,また,短波長放射が人体の温熱感に大きく影響することを確認した。

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.12, 2005 pp.63-71

揮発性有機化合物除去フィルタと再生装置の開発

湯懐鵬、田島和也、加藤陽一、木村文夫

揮発性有機化合物 (VOC) 除去フィルタの繰り返し使用を目的として,活性炭 (ハニカム状,ペレット状) ,ゼオライト,シリカゲルなどの吸着剤の物性と吸着能力を評価し,再生可能なVOC除去フィルタを開発した。また,オゾンガス,過酸化水素水,雰囲気減圧,熱風,過熱蒸気などによる再生効果の基礎実験を行い,安全で効果的な活性炭フィルタ再生装置を開発した。これらの製品を今後の室内空気質の改善に活用したい。

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.12, 2005 pp.73-87

都心に建つ超高層ビル (Nビル) の運転実績
−エアフローウインドウにおける実測および評価−

立野岡誠、佐藤博樹

Nビルの高層階事務室は北西面・南東面にフルハイトの窓を有し,全自動ブラインドを備えたエアフローウインドウおよび放射温度センサーによるペリメータ温度設定補正制御を導入している。この窓システムの有効性を把握するために,温熱環境実測とエネルギー消費実測を行った。その結果,年間を通じて安定した温熱環境が維持されることを確認した。また,エアフロー排気による窓周りの除去熱量およびペリメータ温度設定補正制御の有効性も確認した。
本報は (株) 三菱地所設計殿から設計資料を提出して頂き,平成16年度空気調和・衛生工学会大会で発表した内容を主体にまとめたものである。

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