特許・論文

中央研究所報2007年 Vol.14

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.14, 2007 pp.1-7

複数の吹出し気流の干渉を考慮した大空間空調制御に関する研究

植田俊克、本多中二*1、白波瀬悠*1

隣り合う空調ゾーンで負荷分布・負荷変動が異なる場合に起こる気流干渉の制御への影響を低減するために,放射温度センサー等を利用してある程度負荷分布の測定が可能という仮定を前提としてエキスパートシステムを構築し,その制御性を数値流体力学解析を用いて検証した。基礎となる制御法は,制御用センサーの温度が対象空間の温度を代表しない場合に,負荷の推定と温度分布の予測値を用いて制御を行う負荷推定型のモデルベース空調制御を用いた。その結果,隣り合うゾーンを独立に制御する場合に比べ,干渉の少ない安定した制御が可能であることが分かった。

*1 電気通信大学

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.14, 2007 pp.9-16

大空間空調時におけるファジィモデルベースPID制御に関する研究

植田俊克、本多中二*1

温度センサが居住域温度を代表しない場合の空調制御法として,空間の温度分布を予測し近似モデルを作成することで,温度センサ設置位置の制約を受けない空調制御を提案する。本手法は近似モデルとして簡略化ファジィ推論法を採用し,非線形な温度特性に対して高精度なモデル化を可能としている。CFD (数値流体力学) 解析を用いて制御シミュレーションを行った結果,ファジィモデルを使用した本PID制御は従来のセンサ温度を代表温度とするPID制御に比べ,オフセットの少ない制御が可能であることが分かった。

*1 電気通信大学

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.14, 2007 pp.17-25

座席吹出空調システムに関する研究
第1報 実大模型による温熱環境計測実験

立野岡誠、仙黒祐二*1

本研究で対象としている座席吹出空調システムは,ホールにおいて鉛直方向に温度成層を形成させることで居住域を重点的に空調することが可能である。そのため,省エネルギー効果が期待されるが,吹出口を居住域に設置するため,人体へのドラフトが懸念される。そこで本研究では,快適感を損なうことのない空調システムの実現を目的とし,実大模型を用いた実験で検討を行った結果,冷房時と暖房時におけるドラフトの危険性を回避できる条件についての知見が得られた。

*1 株式会社中部設計

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.14, 2007 pp.27-33

配管系の振動低減に関する研究
第4報 フレキ2 段挿入設置法を用いた現場対策事例

白木秀児、田辺恵一、盆子原 康博*1、近藤孝広*1

配管系の振動低減技術開発の一環として,前報までにフレキシブル継手の複数挿入による配管振動低減効果および配管振動にともなう固体音の低減効果について有効性を確認した。本報ではこれらの知見を実際の現場対策に適用し,固体音低減が十分に行われたことを紹介する。

*1 九州大学

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.14, 2007 pp.35-47

配管抵抗低減剤の効果検証

山﨑洋、宮下守、松川安樹

空調用水熱媒の搬送動力を削減する配管抵抗低減剤 (DR剤) に関して,実験的な解析と評価を行った。その結果,直管部,局部,および熱交換性能に関するDR剤の影響を確認できた。
また,設備全体の抵抗低減効果を試算する方法を検討し,既存の設備にDR剤を導入した場合のエネルギー削減量や環境負荷の低減効果について試算を行った。その結果,DR剤の有効性が確認された。

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.14, 2007 pp.49-55

空気清浄機のアセトアルデヒド除去性能評価

前田康博、小林徳和、木村文夫、湯懐鵬

アセトアルデヒドは厚生労働省による室内空気中の規制化学物質の一つとして,またタバコ臭気の主成分の一つとして除去対策が求められている。本報では,代表的な4種類の除去方式によるアセトアルデヒドの除去性能について評価した結果を報告する。オゾン方式,光触媒方式,酸素クラスター方式はアセトアルデヒドを除去できないことを確認した。特にタバコ煙では除去効果を確認できなかった。触媒吸着方式の場合,他の方式よりアセトアルデヒドを除去するが1パス除去率が低く,さらに時間の経過とともに除去性能が低下することがわかった。

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.14, 2007 pp.57-66

木質系廃棄物を利用した水素製造の可能性検討

塚本将朗、白戸淳*1、小泉勝、石窪照男*2、阿部靖則

新エネルギーとして注目されている水素を,コーヒー粕や杉チップなどの木質系廃棄物から作ることを目的に実験を行った。
はじめに,実験室内において,木質系廃棄物を燃焼して炭化物を得て,炭化物と蒸気を反応させて (水性ガス化反応) 水素を生成することを試みた。その結果,約60%の水素を含むガスが得られ,木質系廃棄物を原料にした水素製造の可能性が示された。
次に実験プラントを建設し,回分操作により異なる温度条件下で水素を生成した。その結果,温度が高いほど水性ガス化反応が終了するまでの時間が短くなることが明らかになった。さらに炭化物を連続的に供給することによって,水素を含有するガスを連続して発生させられることも確認した。
*1 株式会社新菱アクアビジネス
*2 株式会社レモン

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