特許・論文

中央研究報2010年 Vol.17

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.17, 2010 pp.1-18

多目的大空間におけるファジィモデルを用いた空調制御に関する研究

植田俊克

大空間空調では、その気積の大きさから吹出し口と居住域が離れている場合が多く、時間遅れや制御の不安定が生じやすい。さらに多目的に用いられる大空間では使用用途によって外乱である人体負荷分布が異なることから、適切なセンサー位置が未知であることが多く、温度分布の不均一や居住域の温度と設定値にずれが生じやすい。そこで、本研究では多目的に使用されるドーム球場において、センサー位置や使用用途の影響を受けずに快適かつ省エネルギー性の優れた空調制御法を提案し、数値流体力学 (以下、CFDとする) 解析によりその有効性を検証する。提案する制御法は、外乱に応じた空間の温度分布をあらかじめ求めておき、温度分布を予測しながら制御を行うもので、温度分布の予測にはファジィモデルを、制御にはPID制御を用いる。本法を省エネルギー性に優れた変風量方式の空調システムに適用し、センサー位置による影響を受けにくく、省エネルギー効果の高い空調制御が可能であることが分かった。なお、本報は「多目的大空間におけるファジィモデルを用いた空調制御に関する研究 (2009年博士論文) 」からの抜粋である。

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.17, 2010 pp.19-31

空間シミュレーションルームを用いた冬期のブリーズライン方式の検討
第2報 冬期の室内温熱環境の改善の検討

立野岡誠、山本雅之、鈴木正美、横山真太郎*1

水配管を伴わないという利点からオフィスビルのペリメータ空調システムに天井ブリーズライン方式が用いられるようになった。我々は既報にて、夏期の冷房条件では、吹出口の設置位置や形状を適正に設定すれば良好な室内温熱環境を達成することが可能であることを示し、ソーラーシミュレータを活用して行った冷房条件での種々の実験結果について報告した。しかし、冬期の暖房条件では、天井付近の熱溜り発生やコールドドラフトを助長する危険性がある。第1 報では、冷房時に室内温熱環境が良好となる吹出条件が、暖房時も良好であるとは限らないことを報告した。本報では、暖房条件で良好な室内温熱環境を達成する方法として、ペリメータの供給熱量は等しいまま、冷房時の給気風量の60%まで減少させることが有効であることを提言する。

*1 北海道大学

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.17, 2010 pp.33-44

空間シミュレーションルームにおけるペリメータ空調システムの研究
第4報 ブリーズラインの窓からの距離の検討

立野岡誠、山本雅之、鈴木正美、横山真太郎*2

インテリジェントビルを中心にその採用が増えつつある天井ブリーズライン方式によるペリメータ空調システムを、本研究では対象としている。建築構造や意匠の制約条件によっては、吹出口の設置位置や適正形状が保てない場合がある。本研究の目的は、ペリメータ空調システムとしてブリーズライン型吹出口を用いた場合の、長さ・設置本数および吹出方向に関する設計基準を作成することにある。既報では、研究を行うにあたり製作した実験室の概要を述べ、夏期の冷房条件でのブリーズラインの長さと本数および吹出方向の実験結果について報告した。本報では、ブリーズラインの窓からの距離の違いの実験結果について検討する。それらの報告に基づき、冷房時のブリーズラインの吹出条件は、吹出口を2 本に分割しブリーズラインの長さの合計をスパン幅の半分とすること、ブラインドの上端に向って吹出す水平吹きとすること、吹出口を窓から1 m程度離して設置することを提言する。

*1 北海道大学

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.17, 2010 pp.45-54

亜鉛と鋼の電位逆転現象による亜鉛めっき鋼管の局部腐食事例とその原因解析
第1報 研究の歴史と事例解析

松川安樹、宮下守、宮田義一*1、朝倉祝治*2

亜鉛めっき鋼管は、その防食性・施工性・汎用性・コストの利点から、冷温水や冷却水等、現在でも多くの配管系に利用されている。しかし、亜鉛と鋼の電位逆転が原因と思われる局部腐食による漏水事故が度々発生している。亜鉛と鋼の電位逆転現象については、約70年前から研究されているが、その原因は明らかでない。本研究では、これまで行われた研究の整理と、腐食トラブルの発生状況について詳細な調査を行った。調査の結果、亜鉛の電位逆転現象は水質の影響で生じることが最新の見解であるが、その詳細についてはまだ不明な点が多いこと、および漏水が生じた亜鉛めっき鋼管では、亜鉛と鋼の電位逆転現象が実際に生じていることを明らかにした。そして、これらの結果を基に、腐食原因の解明と対策の実施に向けた今後の研究課題を提案した。

*1 元横浜国立大学
*2 横浜国立大学

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.17, 2010 pp.55-62

3D Measuring and Marking System for Building Equipment - Developing and Evaluating Prototypes -

Shintaro SAKAMOTO, Hiroki KISHIMOTO, Kouetsu TANAKA, Yukiteru MAEDA

The measuring work has been done manually with the scales in the construction of building equipments. We have been studying a 3D measuring and marking system using a total station to increase accuracy and decrease workload. One feature is a pointing device for indirectly measuring hidden areas that cannot be measured with a stand-alone total station. The device has a sensor which consists of a pinhole and a position-sensitive detector for measuring the incident angles of the received laser; calculation of the pointing position is possible using these data. The other feature is a positioning device for accurate marking relative to the points which the total station indicates with the laser automatically. The displacement from the target position is calculated from the device position and the operator marks it with the marking position adjusting function of the device. This paper describes the system configuration, measuring and marking theory of the system with these devices, and the results of evaluation experiments conducted with prototypes.

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.17, 2010 pp.63-71

遊技施設用タバコ臭気対策システムの開発

前田康博、木村文夫、植田俊克、湯懐鵬、小林徳和

近年、タバコ煙の健康影響、特に受動喫煙に伴う健康被害が問題視されているが、パチンコ店などの遊技施設では対策が充分有効にはたらいていない場合がある。本報では、パチンコ店用に開発したタバコ臭気対策システムについて報告する。
開発目標を決めるため、4つのパチンコ店内の空気環境について測定を行った。現状のパチンコ店内の空気環境では、アセトアルデヒドがタバコ臭気の大きな要因となっていることが明らかになった。また、既存技術によるタバコ臭気除去性能を評価したところ、光触媒などの既存技術ではタバコ臭気を十分に除去することはできず、特にアセトアルデヒド濃度を低減することは難しいことが分かった。これらの結果を踏まえ、タバコ臭気を検知閾値程度まで低減可能なタバコ臭気除去装置を開発し、さらに、適切な気流方式と組み合わせることにより、タバコ煙の隣席への拡散をなくしてタバコ煙の臭気強度を大幅に改善した空間を実現することができた。

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.17, 2010 pp.73-78

ダイナミック氷蓄熱システムの解氷特性
第3報 下方噴き出しノズルによる解氷特性

小川貴弘、木村文夫、山田育弘

前報では、ダイナミック氷蓄熱システムにおいて、水槽下部に設けた上方噴き出しノズルによる解氷特性の実験結果と簡易モデルによる取水温度予測手法について報告した。本報では、水槽上部に設けた下方噴き出しノズルの解氷特性を明らかにし、上方噴き出しノズルの解氷特性と比較した。
上方噴き出しノズルに比べ下方噴き出しノズルの場合、取水温度は高くなり、ノズル流速が速いほど取水温度が高くなる。下方噴き出しノズルの個数を増やすことにより、取水温度を下げることができ、上方噴き出しノズルと同等の供給冷水温度を確保できることを確認した。

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.17, 2010 pp.79-84

非構造格子系CFDを用いた管内流れの数値解析 第1報 格子依存性の検討

東恵介、加治屋亮一*1、酒井孝司*1、植田俊克

本研究では配管ヘッダー内の流れ場の予測と配管ヘッダーの最適設計を最終目標とし、まず非構造格子系CFD解析の精度検証を行う。具体的には、詳細な実験が行われている90°曲がり円管乱流において、格子作成法の異なる2 種類の非構造格子を用いたCFD解析を行い実験と比較する。その際、解析値の格子依存性を評価し、実験値を高い精度で再現する解析条件を探求する。

*1 明治大学

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.17, 2010 pp.85-90

組換えダイズ栽培用閉鎖型植物生産施設の開発
第2報 実測に基づく栽培室の環境評価

澤田和美、佐川美佳、横田昇平、元山尚美

バイオテクノロジーの発展により、遺伝子組換え植物に医療用原材料などの有用物質を作らせる研究開発が進んでいる。本研究の目的は、組換えダイズに含まれる有用物質を高効率で生産するシステムの開発である。本報では、建設した閉鎖型遺伝子組換え植物生産施設の概要と栽培室の環境評価結果について報告する。ダイズを植えていない場合、栽培室の環境 (光環境、風速、気温など) は目標どおりに制御できたが、ダイズを植えた場合には、植物体による気流の遮蔽や植物からの蒸散量の影響を受け、気温が制御しにくくなることを確認した。

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.17, 2010 pp.91-97

サーバールームにおける空調設備の省エネについて

近都州彦、延岡隆裕、大石剛、山下一彦、植田俊克、福田隆男*1、市川孝誠*1、竹内憲治*1、葛岡典雄*2、茂呂誠志*1

本報では、サーバールームにおける空調設備の省エネルギーの方法を検討している。はじめに、現在のコールドアイル・ホットアイル空調方式よりも混合ロスが小さくなるように、コールドアイルチャンバー、ホットアイルチャンバーを配置し、CFD解析を用いてその効果を評価する。次に、サーバールームが良好な温熱環境となり、かつ、省エネルギーとなる最適な空調吹出し条件を、制御ロジックを用いたCFD解析により探索する。最後に、その条件を用いて省エネルギー性の試算を行う。

*1 鹿島建設株式会社
*2 株式会社アルモ設計

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.17, 2010 pp.99-109

高精度環境制御システムの研究開発
フェーズⅠ 要素試験による温度制御システムの検討

吉田敏晴、福井雅英

産業空調の分野においては、室内の高精度な温度制御システムがさまざまな方法で検討されている。本研究では、高精度な室内環境制御システムを開発するためにその基礎となる要素試験を実施して、温度変動幅±0.01℃以下の高精度な給気温度制御を実現し、温度制御に関する要素技術を確立したのでその結果を報告する。

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.17, 2010 pp.111-117

モニタリングロボットの開発 ベーシックモデルの試作

田中幸悦、岸本洋喜、酒本晋太郎

既設建物の現場調査や新築現場の施工チェックなどの際に、人が近づきにくい場所で計測・確認作業を行わなければならない場合がある。このような場合にカメラを搭載した移動ロボットを用いると、安全に計測・確認作業を遂行できるとともに内装の解体・復旧が不要になり省コストにもつながる。そこで、筆者らは無線で操作できるカメラ付きのモニタリングロボットシステムを開発した。本システムの特徴は、オペレーターの操作アシスト機能を有していることである。本報では開発したモニタリングロボットの概要とフィールドテストの結果について述べる。

中央研究所報トップ

ページトップへ