特許・論文

中央研究報2012年 Vol.19

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.19, 2012 pp.1-7

ビルのエコ改修に関する研究 (その1)
─変風量・変温度床吹出し空調方式の実験および評価─

立野岡誠、近都州彦、鈴木正美、植田俊克、阿部靖則

本研究では、オフィスビルのエコ改修に向けて、省CO2とワークプレイスプロダクティビティの両立を図る空調方式、騒音対策技術および施工技術の検討と評価を行った。その1では、VAV制御の床吹出し空調における、変風量・変温度の空調方式の検討を行い、その性能評価の根拠となる到達距離、圧力損失についての基礎的な実験を行ったので報告する。

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.19, 2012 pp.9-14

ビルのエコ改修に関する研究 (その2)
─変風量・変温度床吹出し空調方式のCFD解析─

植田俊克、本多中二*1、阿部靖則

VAV方式の床吹出し空調において、到達距離を一定に保つための制御方式として、前報 (その1) に示した吹出し風量の増減量が熱量増減の1/3乗に比例することを利用して、制御アルゴリズムを構築する。さらに熱負荷が時刻変動するときの室内の温度分布をCFDにより予測した結果、吹出し温度を一定とする通常のVAV方式よりも居住域の上下温度分布を一定に保ち、かつCAV方式よりも省エネルギーであることが分かった。

*1 電気通信大学

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.19, 2012 pp.15-22

ビルのエコ改修に関する研究 (その3)
─室内設置型空調機の消音対策─

山西高弘、白木秀児、鈴木正美、阿部靖則

空調設備機器を執務室に近接した機械室や執務室内に設置する場合、騒音の問題が発生しやすいため、設置前に消音対策の検討が必要である。本報では、オフィスビルのエコ改修に伴い、執務室内に空調機を設置した事例について報告する。本事例では、空調機の試作機を製作して消音仕様の検討を行った。その結果、適切な消音対策を実施し、執務室内の騒音目標値を満足することができた。

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.19, 2012 pp.23-27

ビルのエコ改修に関する研究 (その4)
─3 次元計測・墨出しシステムの開発─

酒本晋太郎、冨田裕行、阿部靖則

施工の合理化を図り、二酸化炭素の排出量を削減したエコ改修を実現するため、3次元計測・墨出しシステムを開発している。本システムは、トータルステーションを基盤とし、無線操作によって 1人作業が可能である。また、独自に開発した計測・墨出しデバイスにより、従来は不可能であった隠れた場所の計測を可能にし、また簡単かつ高精度な墨出しができる。本稿ではシステムの構成と機能について述べ、実験結果によりその性能を示す。さらに実現場での試験運用の結果から、システムの有効性を示す。

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.19, 2012 pp.29-34

・Laser Marking System Based on 3D CAD Model

Shintaro SAKAMOTO, Naruo KANO*1, Takeshi IGARASHI*1, Hiroki KISHIMOTO, Hirohiko FUJII*2, Yuji OOSAWA*2, Kentarou MINAMI*2, Kousei ISHIDA*1

In many cases of renovation work, it is very difficult to gain sufficient information about the existing building, such as the positions and dimensions of the frame, interior, and equipment, because of incomplete or missing drawings. As a result, it is necessary to fabricate the parts on the construction site. We have been developing a system for measuring existing buildings precisely using a 3D laser scanner before renovation work, fabricating the parts in factories and assembling them on-site. This system will increase productivity and eliminate construction waste. The system requires a function for positioning the parts and precisely marking the site. The marking system we developed determines positions from 3D CAD data and indicates them with a motor-driven total station. The position data is produced from objects such as points and lines stored in a design file, and is saved as a marking data file. The total station reads the data file and automatically and precisely marks the positions by laser.   This report describes the function for producing the position data file and for marking the positions with the total station. It also shows the results of a field test at an actual construction site. This research was carried out with a grant from the Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism.

*1 Waseda University
*2 Maeda Corporation

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.19, 2012 pp.35-40

Evaluation of Infection Risk by Coughed Air in Hospital
・Airborne Infection Control System of New Consultation Room

Shoichi MORIMOTO, Norikazu KOBAYASHI, Toshikatsu UEDA, Huaipeng TANG, Shin-ichi TANABE*1, Hitomi TSUTSUMI*1, Satoshi HORI*2

The objective of this study is to develop an airborne infection control system for a new consultation room for medical examinations and inspections. The experiments were conducted in a full-scale test room simulating the new consultation room. Unidirectional airflow from a medical worker to a patient prevents airborne infection. A screen placed between the medical worker and the patient prevents droplet infection. When the screen is lowered to 0.9 m, which is lower than the face of the medical worker, the concentrations of patient coughs are diluted by over 5 digits. When the screen is opened to 1.5 m, which is higher than the face of the medical worker, the concentration dilution remains over 5 digits by increasing the air volume of normal ventilation by a factor of 2.5. Appropriate control of infection risk can be anticipated by operating the new consultation room according to the risk of infection.

*1 Waseda University
*2 Juntendo University

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.19, 2012 pp.41-47

軟化処理水および純水環境中における金属材料の腐食挙動に関する研究

津波古敦信、松川安樹

近年、空調設備のランニングコストの削減や環境への配慮から、空調用冷温水や生産機械の冷却水の補給水に、井水を軟化処理した水や純水を使用する事例が増えている。軟化処理水や純水を使用した設備でも、まれに金属材料の腐食は発生することがある。しかし、軟化処理水や純水環境中の腐食性に関する知見が不足しているため、対策が明確でないことが問題となっている。そこで本研究では、炭素鋼、亜鉛めっき鋼、銅、ステンレス鋼に着目し、軟化処理水および純水環境中における各金属材料の腐食挙動を調査・解析している。本報では、炭素鋼と亜鉛について実験を行った結果を述べる。実験の結果、軟化処理水中では炭素鋼の腐食が、純水中では亜鉛の腐食が水道水中よりも促進されることが分かった。

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.19, 2012 pp.49-57

分岐配管の流量分配予測 T型分岐管内の可視化実験とCFD解析の精度検証

深田賢、加治屋亮一 *1、村上有美 *2

非構造格子によるCFD解析は配管の分岐や合流といった複雑な形状・流れ場の解析を行い、ヘッダー等の最適設計に活用するのに有効な手段の一つと考えられる。CFD解析の精度検証を行うために、本報では実験により分岐配管内の流速分布をPIVにより測定し、構造・非構造格子を用いたCFD解析との比較を行った。その結果、流速分布については、CFD解析で同様の精度が得られることを確認したが、90°曲がり管の圧力損失については、不十分な再現精度であることがわかった。より高精度に流量分配を予測するためには、配管の接続方法で異なる抵抗値を採用する必要がある。また、六面体のセルを用いた非構造格子によるCFD解析を行い、流量分配比については分岐部分のメッシュ接合方法による影響が小さいことを確認した。

*1 明治大学
*2 株式会社グローバルスタッフ

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.19, 2012 pp.59-66

改修工事におけるエコ生産のための3次元レーザースキャナーを用いた計測技術の開発

冨田裕行、酒本晋太郎、嘉納成男*1、五十嵐健*1、藤井裕彦*2、曽根巨充*2、大澤雄司*2、石田航星*1

建築物の改修工事では、竣工図の不備や紛失などにより既存躯体や設備について十分な情報が得られない場合がある。このため、施工時には現場合わせが必要となり、生産性が低下するとともに多くの廃棄物を発生させる要因にもなる。筆者らは、既存躯体や設備などを3次元レーザースキャナーで計測し、この情報に基づいて部材を工場で製作し、現場で取り付ける工法により、生産性の向上と現場加工による廃棄物をゼロにするエコ生産システムの開発を進めている。
本報では、本システムを構成する技術として3次元レーザースキャナーによる計測技術と計測した点群の解析技術、 3次元CADによるプレカット部材の配置と寸法・形状の詳細設計の半自動化技術、およびトータルステーションによるプレカット部材の位置決め技術について、改修工事を想定した現場での導入実験に沿って説明し、結果を報告する。

*1 早稲田大学
*2 前田建設工業株式会社

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.19, 2012 pp.67-72

低湿度環境における人体からの発湿量低減方法に関する研究

佐原亮、三國恒文、滝沢英二、三上秀人

リチウムイオン二次電池などの製造工程で必要とされるドライルームを構築するにあたっては、外気や室内の潜熱負荷が除湿機の仕様や消費エネルギー量を左右する。室内における最大の潜熱負荷は、人体からの発湿であり、それをいかに低減するかが課題である。そこで本研究では、人体からの発湿量を効果的に低減することを目的として、種々の着衣条件で被験者からの発湿量を測定し、それらの低減効果を調べた。その結果、レインウェアやシリカゲル付マスクを着用することによって、人体からの発湿量を大幅に低減できることが分かった。

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.19, 2012 pp.73-78

医療・福祉施設の感染制御に関する研究
第2報 飛沫核の漏洩を防ぐプッシュプル気流の検討

森本正一、佐伯寅彦、小林徳和、湯懐鵬、植田俊克、田辺新一*1、堤仁美*1、堀賢*2

これまでの研究で、病室内の飛沫核は陰圧病室であってもドアを開放するとすぐに廊下へと漏洩する課題が明らかとなった。一方、プッシュプル型換気装置は、低風速で、堆積粉じんの巻上げが少なく、低騒音という特徴があるが、空間の仕切りとして汚染物質の漏洩を防止する用途では検討されてこなかった。そこで、プッシュプル気流を空間の仕切りとする場合に、飛沫核の漏洩を防ぐ条件を検討した。実験は病室、前室、廊下を模擬した実験室で実施した。プッシュプル装置は前室と廊下の間に設置した。飛沫核の代替粒子にベビーパウダーを用い、廊下で発生させた。評価には、廊下と前室の濃度比を用いた。目標値は、空気感染対策に用いられるN95マスクを廊下で装着した場合の曝露量と同等である5%以下とした。実験の結果、漏洩防止効果を得られるプッシュプル気流の最低風速は0.14m/sであった。同じ風量で比較すると、プッシュ装置の速度を2倍に増やすよりも、幅を2倍に増やしたほうが大きな漏洩防止効果を得られた。

*1 早稲田大学
*2 順天堂大学

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.19, 2012 pp.79-85

太陽光発電の有効利用・効率向上に関する基礎研究

山本誠、前田幸輝

低炭素化社会の実現に向けた建築物のZEB化において、建築物の壁面を利用する太陽光発電は、将来的に有望なシステムである。しかし、壁面では、屋根や屋上に比べて日射量が低下する。また、太陽光発電により発電された電力は直流であり、系統連系するために交流に変換する際に損失を生じる。そこで、本報では、システム開発に先立ち、太陽光発電の基礎的知見を得るために、壁面設置における発電性能および直流利用時の特性を把握するための実験を行った。その結果、1日に1回太陽光パネルの方位を回転させた場合、回転角が大きいほど発電量が増加することがわかった。また、太陽光パネルと負荷を直接接続した場合、MPPT制御よりも効率が3%程度低下し、直接接続する場合は負荷の容量に応じて効率が大きく異なることがわかった。

新菱冷熱工業株式会社中央研究所報, Vol.19, 2012 pp.87-94

ミストシミュレーションの基礎的検討

三國恒文、田辺恵一

工場の作業工程で発生するオイルミストは、作業員の健康被害や製品の歩留まり悪化の要因となるため、その効率的な除去方法についての検討依頼が多い。しかし、CFD解析では、揮発性有機溶剤やアンモニア等の気体あるいは埃等の固体についての解析手法は確立されているものの、ミストのような液状粒子の解析手法については実施例がほとんどないのが現状である。そこで本報では、ミストを対象としたCFD解析手法を確立し、実験結果との比較検討を行う。

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