技術による
省エネルギー・省資源化の
取り組み

新菱冷熱は、当社が担当する施工物件の設計・施工・維持管理などの事業活動において、さまざまな技術を用いて省エネルギー・省資源化に取り組み、温室効果ガス排出量の抑制に貢献しています。

新技術で省エネルギー・省資源を実現新菱神城ビル

BELS 建築物省エネルギー性能表示制度

2020年6月に建て替え・竣工した新菱神城ビル(施主:新菱冷熱、東京都千代田区神田)は、複数の新しい技術を導入した環境配慮型ビルで、新菱グループが空調・衛生・電気設備を担当しました。
下町の魅力ある路地空間をイメージしたメインファサードを立体的に組み上げ、建物前面、事務所と外部空間との間にある吹き抜け階段室は、空調負荷軽減に寄与するバッファー空間になっています。また中間期には、上下温度差を利用した自然換気チムニーによって、空調負荷を軽減する役割も担っています。
執務エリアには、省エネルギー性に優れた2種類のダクトレス空調を開発・導入したことにより、中間期のエネルギーネットゼロを目指しています。ダクトレス空調のメリットは省エネルギー性能のほか、ダクト材を削減できること(省資源)、そして天井裏のダクトスペースが不要で階高を低くできる点です。この建物では、階数を1フロア増やすことが可能になりました。
この建物は、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)最高ランク★★★★★(ファイブスター)を獲得しています。

変風量コアンダ空調

「変風量コアンダ空調システム(特許第6453951号)」は、空気が天井を這うように流れるコアンダ効果を利用し、ダクトレスで空気を運ぶ空調方式です。自律式風速一定器具「Air-Soarer®(エアーソアラー)」を使うことで、少風量でも室内のすみずみに新鮮外気を届ける優れた換気効率を有し、昨今のウイルス感染対策としての換気の重要性の高まりに応える空調システムです。また、従来の定風量ダクト空調と比較し、搬送動力を65%削減する省エネルギー性も大きな特長です。

* 「Air-Soarer®」は、株式会社三菱地所設計、新菱冷熱工業株式会社、学校法人芝浦工業大学、協立エアテック株式会社の共同開発品です。

搬送動力削減率65%

2つの空調方式の違い
2つの空調方式の違い

Air-Soarer®の仕組み
Air-Soarer®の仕組み

ダイナミックレンジ放射空間

放射空調システムは、冷温水で温度を調節した天井パネルで空調するダクトレス空調方式です。新菱冷熱が主体で開発した「ダイナミックレンジ放射空調システム」は、①外気を利用して水を冷却するプレクール冷却塔、②防食技術によって熱交換器不要な配管システム、③放射能力を安定化させる還水温度可変カスケード制御、④負荷に応じて温度レンジを最適化する可変流量・可変温度差制御など、さまざまな独自技術を組み合わせた、省エネルギー性に優れた新しい放射空調システムです。

消費電力削減率46%

ダイナミックレンジ放射空間

電気・ガス複合熱源システムと下水再生水熱の活用ささしまライブ24地区

JR名古屋駅の南に、国際交流拠点を目指して再開発された、ささしまライブ24地区。愛知大学の地下にある「ささしまライブ24DHCエネルギーセンター」は、ガスエンジンコージェネレーションシステムによる電気・ガス複合熱源システムや、全国で初となる高度処理された下水再生水を使用した熱源システムを採用しています。
新菱冷熱は、熱供給プラントの実施設計および建設工事に携わり、CFD技術の活用、熱源機器の最適な構成および下水再生水熱利用の効率化などの検討に取り組むことで、省エネルギー性の向上に貢献しました。
下水再生水は、夏期は冷却水に、冬期は水熱源ヒートポンプの熱源水として利用し、個別空調方式と比べ、1次エネルギー消費量21.1%削減を実現しています。
これらの成果が認められ、「コージェネ大賞2019 民生用部門優秀賞」と「令和2年度デマンドサイドマネジメント表彰(一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター理事長賞)」を受賞しました。

*CFD:Computational Fluid Dynamics

ささしまライブ24 地域熱供給システムイメージ
ささしまライブ24 地域熱供給システムイメージ

コミッショニングによる熱源システムの効率向上虎ノ門ヒルズ

東京都港区にある虎ノ門ヒルズは、2014年に開業した超高層ビルです。ここでは、熱源最適運用支援システム、大規模蓄熱槽の活用等により、熱源システムを高効率に運用しています。新菱冷熱は施工を担当し、竣工後は管理者・設計者・施工者から構成されるコミッショニングチームに参加しました。
コミッショニングチームでは、熱源システムの運用状況を分析し、各機器の設定条件や熱源最適運用支援システムを修正するなどのチューニングを継続して行ってきました。その結果、運用開始直後に比べ、熱源システムの効率は約10%向上しました。その成果が認められ、「令和2年度ヒートポンプ・蓄熱システム運転管理等の改善事例 優秀賞」を受賞しました。

熱源システム効率の推移

自然エネルギーの活用と施工時の省資源化秋田市庁舎

秋田県秋田市の中心部、山王大通りを間に挟み、秋田県庁と向かい合う秋田市庁舎は、2016年に開業しました。ここでは、水蓄熱槽を活用して地中熱を最大限利用する熱源システムを構築しています。
新菱冷熱は、空調設備工事の施工を担当し、地中熱利用、外気冷房・クールヒートトレンチ等の自然エネルギーを利用したシステム構築に貢献しました。
これらの自然エネルギーを活用することで、基準エネルギー消費量に対して60%以上のエネルギー削減を実現しています。その成果が認められ、2020年1月に「第8回サステナブル建築賞(一般財団法人建築環境・省エネルギー機構理事長賞)」を受賞しました。

クールヒートトレンチによる外気導入
クールヒートトレンチによる外気導入

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