海外

シンガポールの交通を技術で支える

East Coast Integrated Depot
イーストコースト インテグレイティド車両基地

地下鉄車両基地

空調機械室

バス車両基地

竣工
2025年8月
延床面積
鉄道車両基地649,738㎡
バス車両基地161,127㎡
施設用途
地下鉄・バス車両基地
所在地
シンガポール

この施設について

イーストコーストインテグレイティド車両基地(East Coast Integrated Depot)は、3つの地下鉄路線の車両基地とバス車両基地を統合した世界初の交通施設です。約36万㎡の広大な敷地に建設された4棟の建物には、最大220編成の地下鉄車両と500台以上のバスを収納できます。複数の地下鉄路線の車両基地を統合することで、車両の運用効率と保守性を向上させるとともに、限られた土地を有効活用し、都市開発と交通機能の両立を目指しています。
地下鉄車両基地は、同じレイアウトの6層構造で、東西線(4階、5階)、トムソン・イーストコースト線(1階、3階)、ダウンタウン線(地下1階、地下2階)が独立して運用可能です。隣接する5階建てのバス車両基地は、3階から5階にバスを収容し、1階を整備場として利用しています。
また、本施設は、環境にも配慮しています。建物の壁面には、約8,800枚の通気パネルを設置し、外気や太陽光を活用してエネルギー消費を削減。さらに、屋上に約7,700枚の太陽光パネルの設置と、47,000㎡の屋上緑化により、年間約4,000tのCO2排出量を削減しています。

施設全景

新菱冷熱の仕事:換気空調設備・ビルマネジメント設備

新菱冷熱は、1979年に担当した香港地下鉄の駅舎空調工事を皮切りに、シンガポール、タイ、インドネシアなど東南アジア各国の地下鉄工事の実績を積み重ねてきました。特にシンガポールにおいては、1987年から駅舎空調工事とトンネル換気工事に継続的に携わっており、全地下鉄駅の7割において新菱冷熱の技術を提供しています。今回の工事では、3つの地下鉄路線の車両基地とバス車両基地を同じ品質で同時に完成させる必要があったため、地下鉄の新路線開通を担当したノウハウを活用して施工管理を行いました。
鉄道車両基地は、建物の壁に設置された多くの通気パネルにより、外気の出入りが容易な構造になっているため、天井に複数台設置した直径6.1mの大風量低風速ファンで、建物内部の空気を循環させる自然換気方式としました。

また、バス車両基地については、排気ガス対応として、 CO2センサーと換気扇タイマーにより建物内の給排気量を制御し、適切な換気量を確保することで、換気にかかる消費エネルギーの削減を図りました。
車両基地の換気空調設備や照明制御の監視を行うビルマネジメントシステム(BMS)は、維持管理の効率化を目的に、地下鉄3路線、鉄道共通設備、バス車両基地の5系統をそれぞれ独立して運用できる構成とし、安定したシステム運用を実現しています。

本プロジェクトでは、広大な敷地と大規模な建物に加え、高所作業の安全確保や線路敷設エリアを横断する電気ケーブル工事の工程管理など、さまざまな課題がありました。これらの課題に対応するため、効率的な施工管理体制の構築と最新技術の活用を進めました。
敷地面積が広く、建物の延床面積が約810,000㎡と非常に広大であったため、作業員の移動時間削減や資材調達の効率化が重要でした。そこで、各車両基地に専属の現場リーダーを配置して統括を行い、確実な施工推進と管理を行いました。また、現場スタッフ全員がタブレット端末を活用し、施工の進捗状況をリアルタイムに共有することで、スムーズな施工を実現しました。
さらに、鉄道車両上部のメンテナンスのため建物の階高が15mと高いことによる、施工の安全確保と作業効率化の課題に対しては、継手加工や保温工事を外部で行い、加工済みの配管材を施工現場に搬入するオフサイト生産を採用しました。これにより、高所作業を最小限に抑え、安全性を向上させるとともに作業効率を大幅に改善しました。
シンガポールでは建設工事での3Dモデルの活用が進み、契約条件となることが多いため、その経験を生かして、建築や他設備との施工調整や設備の保守性の確認、お客様への工事内容の説明などにも3Dモデルを活用し、効率的な施工を行いました。