海外
シンガポールの交通インフラを支える
シンガポール地下鉄トムソン・イーストコースト線第3期
ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ駅外観
ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ駅地下入口
トンネル換気システム
- 竣工
- 2022年2月
- 営業開始
- 2022年11月
- 概要
-
11駅
トンネル部全長13.2km - 施設用途
- 地下鉄駅舎およびトンネル
この施設について
シンガポールでは、利便性が高く、安全で、誰もが使いやすい陸上交通システムを目指しています。2040年に向けた陸上交通マスタープラン「LTMP 2040」では、近隣の中心地まで20分、都心まで45分以内の移動を目標にした交通インフラを整備する計画を掲げています。中でも地下鉄は、より多くの場所にアクセスできるように、路線の新設や延伸、新駅の設置などを進めており、現在では全6路線が開通しています。
トムソン・イーストコースト線は、シンガポールの北部ウッドランズ・ノース駅から東部スンゲイ・ベドック駅に至る全長43km、32駅が計画されています。第3期では、繁華街にあるオーチャード駅を経由し、マリーナベイサンズに近接した広大な植物園があるガーデンズ・バイ・ザ・ベイ駅までの合計11駅を結ぶ全長13.2kmが開通しました。
シンガポール地下鉄路線図
(地下鉄駅の約7割を新菱冷熱が担当)
新菱冷熱の仕事:駅舎空調換気設備・トンネル換気設備
新菱冷熱は、1979年に担当した香港地下鉄の駅舎空調設備工事を皮切りに、シンガポール、タイ、インドネシアなど
東南アジア各国の地下鉄工事の実績を積み重ねてきました。特にシンガポールでは、1987年に国内初の地下鉄路線であ
る南北線・東西線の駅舎空調工事とトンネル換気工事を担当して以来、継続的に携わっており、全路線のうち、地下鉄駅の約7割において新菱冷熱の技術を提供しています。
駅舎の空調では、車両の駆動機などの排熱が空調エリアであるプラットフォームへ侵入しないように、線路をスクリーンドアで遮断して空調機・冷凍機容量を軽減し、省エネルギーにつなげています。また、駅舎間をつなぐトンネル内の換気は、通常は自然換気を行っていますが、トンネル内に電車が停止して線路内の温度が上昇した際は、駅舎の両端に設置した直径約2m、風量約270,000CMHの大型換気ファンと空気圧式ダンパーを組み合わせて運転することで速やかな換気を行うほか、上り線と下り線の交差部分などに設置したブースターファンを起動し、気流の循環を促すなどの対策を講じています。なお、これらの換気ファンは、万が一のトンネル内火災の排煙対策として、風向きを前後双方向に変更できる安全性に配慮した設備を採用しています。
地下鉄工事は、厳密な工程管理が求められます。駅舎は、地下深度や乗換路線の有無、プラットフォームの形式などにより各駅で施工方法が異なりますが、すべての駅舎とトンネルが完成しないと開通できません。そのため、全駅の統括管理が重要になります。計画的な資機材の搬入や作業員の確保を行うとともに、各駅の担当者とアプリを使ったタイムリーな情報共有や、土木・建築・設備など多くの建設会社との連携を図ることで、効率的で確実な施工を行いました。