スポーツ
地域社会の活性化を支える
エスコンフィールドHOKKAIDO
球場内(開閉式屋根 開放時)
球場外観
コージェネレーションシステム
- 竣工
- 2023年1月
- 延床面積
- 120,432m²
- 施設用途
- 野球スタジアム、ホテルほか
- 所在地
- 北海道
この施設について
エスコンフィールドHOKKAIDOは北海道日本ハムファイターズの新球場として北海道北広島市に建設されたスタジアムです。「北海道ボールパークFビレッジ」とよばれるスタジアムを含むエリア一帯は、約32ヘクタールの敷地にスタジアムのほか商業施設や農業学習施設、グランピング施設、レジデンス、認定こども園などが建設され、スタジアムを核とした街づくりが始まっています。今後は、高齢者住宅やホテルの建設、JRの新駅開業なども予定されており、地域活性化が期待されています。
本スタジアムは、約3万5千人(座席数:約3万)が収容可能な日本初の開閉式屋根付きの天然芝球場です。掘り込み式フィールドから地上4階までが観客エリアで、どの席からでもフィールドが近くに感じられる設計になっています。また、建物中層部にはテラスが複数設置され、地域に溶け込むデザインが採用されています。スタジアム内には、飲食店やキッズエリア、ミュージアム、試合を部屋から眺めることができるアジア初のホテルなど、野球観戦以外でも年中楽しむことができるさまざまな施設が準備されています。
北広島市の地域防災拠点としての役割も担っており、非常用発電とコージェネレーションシステム(CGS)による電源の多重化に加え、大型受水槽、防災備蓄品などを備えた約1万人が一時避難できる施設にもなっています。
新菱冷熱の仕事:空調換気設備・熱源設備
新菱冷熱は、スタジアムの空調換気設備と熱源設備の施工を担当し、スタジアムを利用するすべての方が快適な空間づくりを目指しました。
開閉式屋根の閉鎖時における空調・換気には、最大90,000m3/hの送風が可能な空調機24台とスポット空調機17台を設置し、気流や温度分布のシミュレーション結果をもとに、空調機の吹出し口の角度を上下・左右に1度単位で調整したり、空調機を起動してから快適な環境になるまでの所要時間を検証するなどして、観客席の隅々まで空調が行き届く施工に努めました。
また、360度回遊型のコンコースでは、スポット空調機や遠赤外線ヒーター、
空調吹出し口
温水パネルヒーターなどによる局所空調を行い、観客が客席以外でも快適に過ごせるよう工夫しました。
その他、選手がプレイしやすい環境への配慮として、ダッグアウトのベンチ下に冬場の冷え込みを防ぐ電気ヒーターの設置や、試合中に空調ダクトの反射光が影響しないよう保温材をグレーに塗装するなどの対策も行いました。
熱源設備は、廃熱回収型冷温水発生機や真空式温水ヒーター、空冷ヒートポンプチラーなど複数の機器で構成しています。季節や条件に応じて最適な機器を選択・運用する8パターンの運転モードを設定し、省エネルギー化を実現しました。停電時の対応としては、ガスコージェネレーションと非常用発電機により施設運営が継続できるよう整備しました。
施工では、BIMを活用して、コンコース部分のダクトの見え方の確認や雨がかかる範囲を予測し、精度の高い施工を行ったことに加え、ダクトメーカーの加工機にBIMデータを直送して製作するなど工程の効率化も図りました。