最適・熱源AI制御システム

快適性を損なわずに安定的 かつ 最小限のエネルギーで
熱源システムを運用する技術です。

熱源最適制御システムは、主に建物の冷房・暖房用の熱源システムの運用に関わる技術で、建物内で過ごす人々の快適性をしっかりと維持しながら、最小限のエネルギーで運用するシステムです。
建物の省エネルギー・省CO2に貢献し、建物管理者が安心して運用できる手段のひとつで、季節や天気に合わせて、より省エネルギーとなる運転計画の立案や各設備の性能をよく考えた温度設定への変更など、総合的に設備の運用をサポートします。

熱源最適制御システム

建築物において、熱源設備関連のエネルギー消費量は高い割合を占め、熱源システムの省エネルギーを実現する最適運転が不可欠です。しかし、熱源システムの複雑化や熟練の運転員不足により最適運転は容易ではありません。
熱源最適制御システムは、熱源システムの最適な運転計画や設定値を導き出す技術で、設備の運用を総合的にサポートします。

開発技術

■冷却水系統最適制御システム(特許 第 5944957 号)

当社の最適制御技術は、エネルギーシミュレーションの活用を特長としています。エネルギーシミュレーションの活用と蓄積したノウハウにより、熱源システムの最適な運転条件(運転計画や設定値など)を導出するプログラムを構築します。
プログラムに基づいた運転により補機類を含めた熱源システム全体を最適化することができます。
たとえば、水冷式冷凍機のシステムの運用では、冷却水入口温度を低下させると冷凍機単体の効率は向上し、エネルギー消費量は低下しますが、冷却水温度を低下させるためには冷却塔ファンの動力が増加します。
このように、一般的に水冷式冷凍機のエネルギー消費量と冷却塔ファンの動力の間にはトレードオフの関係があります。
補機類の動力を含めたシステム全体でのエネルギーの最小化、および、ランニングコストの最小化には、条件や運転状況に応じて冷却水温度を最適に制御する必要があります。

熱源機エネルギーと補機エネルギー(冷却塔・ポンプ等)はトレードオフの関係があります。
補機を含めたシステム全体のエネルギー消費量を最小にする制御が必要です。

■運転スケジュール支援システム

冷凍機を複数台並列で設置された熱源システムの運転計画時において、要求冷熱負荷や冷却水温度条件によって大きく異なる冷凍機の効率を考慮して、システム全体のエネルギー消費量を最小にする機器の組合せを選択し計画する手法が必要となります。
運転スケジュール支援システムは、翌日の 「気象予報」 と 「予測負荷」 の2条件に対して最適運転スケジュール(一日のエネルギー消費量積算値が最小となる運転スケジュール)が選択されるシステムです。
最適運転スケジュールは、事前にエネルギーシミュレーションによって求めて、プログラム化してあります。図の例では、24時間の予測負荷(青いライン)に対して、4台の熱源機のうちどの熱源機を、何時から何時まで、どの程度の出力で運転させる計画かを示しています。熱源機の組み合わせ、出力、運転時間を最適化するシステムです。

条件(負荷率、冷却水温度)によって変化する機器効率を考慮し、システム全体のエネルギー消費量を最小にする運転計画の構築が必要です。

■汎用型(中小規模施設向け) 最適制御システム

運転スケジュール支援システムでは、システムの構築にあたり、物件ごとの熱源システムおよびその特性に合わせた検討、シミュレーション、事前検証を実施することで、省エネルギー性能の向上と信頼性の確保を図っています。
しかし、それによりシステム構築に至るまでの作業量は膨大となり、導入コストの増加につながっています。その結果、最適制御技術を用いたシステムの導入事例は、大規模熱源設備で多いものの、費用対効果の観点から中小規模施設での導入例はほとんどみられません。
そこで、当社では、最適制御技術の適用範囲の拡大を目指し、最適制御の機能を必要最小限に絞った安価なコントローラを開発しました。このコントローラは熱源システムの各設定値(冷却水温度、冷却水流量、冷水温度、冷水流量)の最適値を演算する機能を有しています。これにより、熱源システムの省エネルギー運転が可能となり、従来の制御方法に比べて最大10%程度の省エネルギー効果を実現できます。
また、最適値を求める演算式は施設ごとに作成しないこと(ただし、導入して一定期間経過後のチューニング実施を前提)や市販のサーバやタブレットを用いてシステムを構成することなど、導入コストの低減を図る工夫により中小規模施設の導入にも適したシステムとしています。

■AIを活用した最適制御システム

“AI予測” と “AI探索” を適用した大規模熱源システム向けの制御システムです。​環境および熱需要により刻々と変わる最
適値を求め、人為的判断では困難であった設定を実現し、​エネルギー消費量の低減を図ります。​