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2017.9.6環境にやさしい防食施工技術でサステナブル社会の実現に貢献
~「腐食しにくい水」を用いた画期的な防食施工技術を開発~

当社は、空調配管や冷凍空調機器の熱交換器銅チューブに発生する局部腐食を、防錆剤を使用せずに抑制する、「防食施工技術」を開発しました (特許第6114437号) 。
本技術は、横浜国立大学のリスク共生社会創造センター (本研究テーマ代表:先端科学高等研究院 副高等研究院長 三宅淳巳 教授) との共同開発です。

サステナブル社会の実現には、建築設備の長寿命化が大きく影響します。特に、設備配管の腐食対策は重要な課題です。亜鉛めっき鋼管や熱交換器用銅チューブに発生する局部腐食 (図-1) は、原因と対策が明らかにされていないため、現在もたびたび発生し、腐食形態の約1/4、22%を占めています。 (図-2)


  • 図-1 亜鉛めっき鋼管や熱交換器銅チューブに発生する局部腐食事例

  • 図-2 建築設備配管系における腐食発生状況の腐食形態別分類 (当社調査例)

当社は、局部腐食を抑制するには、「腐食の起点を作らない」ことが重要と考え、配管施工後の水張り・フラッシング※1の段階で、防錆剤を使用せずに腐食を抑制する防食施工技術を開発しました。現在は、本技術を既設建物の水質改善に適用することを目的に、当社施工物件におけるフィールド試験を計画しています。
本技術は、ビルや工場の冷水・温水・冷却水配管の多くに使用されている炭素鋼鋼管、亜鉛めっき鋼管、冷凍機や空調機器などの熱交換器用銅チューブに適用が可能です。

本技術の特長は、以下の三つです。

1) 防錆剤を使用せずに腐食を抑制
アニオン交換樹脂を用いて、水道水中の腐食性イオン (塩化物イオン・硫酸イオン) を、防食性イオン (炭酸水素イオン) に交換し、水道水を「腐食しにくい水」に改質

2) 水を捨てずにフラッシング
「腐食しにくい水」を、水張り・フラッシングの段階から循環ろ過使用することで、腐食の起点になる微粒子を完全に除去

3) フラッシング完了時期を定量的に判断
pHや溶存酸素濃度などのモニタリングにより、作業の省力化と均質化を実現

なお、「腐食しにくい水」を使用することで、腐食の進行が抑制され、腐食速度が、炭素鋼鋼管の場合、約1/60になります。 (図-3、4参照)


  • 図-3 腐食抑制効果確認試験 (東京都水 (左) と腐食しにくい水 (右) に鉄を一ヶ月浸漬)

  • 図-4 腐食抑制効果の比較 (腐食速度)

本技術を導入することで、以下の効果が期待できます。

1) 配管保全費用の低減
腐食防食学会が編集した、腐食による損傷を考慮した、建築設備の保全費用の報告資料によると※2

  • 50年以上の使用にかかる更新・修繕費用は、建設にかかる初期費用の約3倍。
  • このうち、腐食関連コストは約30%。
  • 例えば、初期建設コストが10億円の場合、50年以上の使用にかかる更新・修繕コストは30億円、このうち腐食関連コストは9億円程度になるが、本技術を導入することで、腐食関連コストを半分以下に低減することが可能。

2) 省エネルギー化の推進

  • 管内流速を遅くすることにより、局部腐食発生の恐れが低減されるので、低負荷時の搬送動力低減のために流量を絞ることが可能。
  • 配管材の局部腐食による減肉の恐れが低減されるので、冷凍機銅チューブの内面形状を複雑にして、熱交換率向上を図ることが可能。

3) 地球環境にやさしい

  • フラッシングに防錆剤を使用しないため、環境にやさしい。また、循環方式なので節水にもなる。

当社は今後、本技術を、新築物件だけでなく既設物件への導入を推進します。また、予防保全と予知保全の双方の観点から、設備配管と空調機器の長寿命化につとめ、サステナブル社会の実現に貢献していきます。

※1本運転前の配管内に薬品などを循環させることで、ゴミ・汚れ・残留物などを取り除く洗浄作業

※2出典:社団法人腐食防食協会 (現:公益社団法人腐食防食学会) 編集、「わが国における腐食コストCost of Corrosion in Japan (調査報告書) 」、2000年

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