2017.7.20国内初、ホログラフィックコンピュータを用いた
気流シミュレーション可視化手法の開発
～実際の室内空間に、気流シミュレーション結果を重ねて確認～

当社は、数値流体解析による気流シミュレーション (以下、CFD) の結果を、装着式ホログラフィックコンピュータ「Microsoft HoloLens (以下、HoloLens (ホロレンズ) ) を利用したMR (複合現実) ^*1技術により可視化するシステムを開発しました。本技術は、株式会社ソフトウェアクレイドル (以下、クレイドル) との共同開発です。

当社において20年以上前から実用化に取り組んできたCFD技術は、現在ではお客様への設計提案をはじめ、既存の施設における温熱環境などの課題抽出や改善案の検討など様々な場面で活用しています。しかし、CFDの結果を、お客様にわかりやすく、当社が提案したいイメージどおりに伝えるためには、複雑なCFDの結果を見やすくまとめる必要があり、報告書の作成やプレゼンテーションにおいて、非常に多くの労力と工夫が必要でした。(図-1参照)

そこで、これらの課題を解決し、より効率的に提案・課題抽出が可能な手法として、AR (拡張現実) ^*2 やVR (仮想現実) ^*3、MRなどの可視化技術に着目しました。その中でも、実際の空間に仮想空間を融合できるMRデバイスであり、かつ、ウェアラブル端末単独で稼働し機動性が高い「HoloLens」に着目し、クレイドルと共同で開発を行いました。

なお、HoloLensとは、日本マイクロソフトが2017年1月から国内の法人と開発者向けに提供を開始した、Windows10を搭載した世界初の自己完結型ヘッドマウントディスプレイ方式のホログラフィックコンピュータで、現実の世界と3Dのホログラム^*4の世界を融合させてMRを実現した新しいデバイスです。(図-2参照)
HoloLensは、国内の建設設備業として当社が初めて導入しました。また、CFDへの適用は、国内初となります。
そのHoloLensを用いたCFD可視化手法開発の第一弾として、つくば市にある当社の中央研究所内の施設において、制気口から吹き出す気流の可視化を可能にしました。 (図-3参照)
これにより、CFD気流解析による空気の流れを、実際の室内空間で視覚として確認できるため、解析結果を、より効率的で正確に、お客様と共有することが可能になります。

本システムは、外部パソコンへの接続が不要なため、HoloLensを装着したまま室内空間を自由に動き回り、任意のポイントの気流を確認することができます。また、データやデバイスの持ち運びも容易なため、CFDの解析結果があれば、あらゆる場所でCFDの可視化が可能です。その上、CFDの結果をMR用に作りこむ手間がないため、一般的なCFD技術者であれば誰もが使うことができる、活用しやすいシステムです。
今後は、本システムの特長である「視覚化」の機能をさらに進展させるため、MR技術の機能強化をクレイドルと共同で進めていきます。そして、施工前に完成形を見える化する提案ツールの一つとして、3Dモデル施工図やCFD解析と併せて、HoloLensを使った仮想体験の提案体制を整える計画です。

*1) MR (Mixed Reality) CGなどで作られた人工的な仮想世界に現実世界の情報を取り込み、現実世界と仮想環境を融合させた世界を作る技術。デジタルコンテンツが現実世界に組み込まれたように表示する。例えば机の脚の向こうにあるデジタルコンテンツは、机の脚の部分だけ隠れて見えないような処理を行う。ARよりも、より現実世界の影響をデジタルコンテンツ側が受ける。

*2) AR (Augmented Reality) 現実空間に付加情報を表示させる、現実世界を拡張する技術。

*3) VR (Virtual Reality) コンピュータ上に人工的な環境を作り出し、あたかもそこにいるかのような感覚を体験できる技術

*4) ホログラム　空間に浮かび上がっているように見える立体映像のこと。

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