空気環境
ソリューション
空気質の調査と改善対策の事例
新築の建物で在室者が体調不良を訴える問題が生じ、その原因が空気中のVOC (揮発性有機化合物) にありそうだと予想されました。そこで当社が改善対策を実施した一例をご紹介します。
分析
室内の空気と内装材のアウトガスを分析したところ、室内空気中のVOCの正体は内装材の接着剤成分と油脂であることが明らかになりました。
調査・診断
2つの成分のうち、どこから放出されているのか不明だった油脂でしたが、さらに詳しく調査を進めたところ、コンクリート打設時の型枠に使われる剥離剤の成分であることが判明。型枠からコンクリートの内部に浸透した油脂が、じわじわと空気中に揮発していることが明らかに。壁や天井のコンクリートから油脂がなくなるまで長期にわたって揮発し続ける状況、という調査結果が得られました。
計画・立案
今回のケースでは、躯体をコア抜きして、表面を削りながらアウトガスを分析したところ、躯体表面を5mm削ると、油脂の発生が1/7に低減することが分かりました。しかしこれだけでは、入室者が微量なVOCに反応するケースも考えられるため、さらに検討を重ね、室内だけでなく部屋間や天井裏の空気の流れ方、換気の取り方、室内圧力の制御法、材料選定や工法の検討、汚染源の封じ込め方法や内装も考慮して、快適環境を実現するトータルプランを立案しました。
工事
検討の結果、3つの対策で徹底的にVOCを低減する計画を立案し、工事を行いました。
- 対策1
- 室内全域の躯体表面を削り取って発生源を除去
- 対策2
- 躯体表面をモルタルや漆喰で上塗りして残留する汚染物質の発生を抑制し、削り取れない部分はボードで隔離
- 対策3
- 隔離した部分を負圧に制御して汚染物質を排気
評価
施工後は、VOCが620μg/m3から50μg/m3と大幅に低減。安全な室内環境を取り戻すことができました。
トータルプランニング
空気環境ソリューションは、分析・調査結果を当社のデータベースと照合し、これまでの経験と実績を踏まえあらゆる角度から検討するトータルプランによって、快適な空気環境を提供します。